結婚相談所の婚活-子供のこと
「子供が欲しい」で選んだ結婚が、行き詰まる時
私がこれまでお受けした相談の中でも、特に忘れられないある女性の話があります。
子供が早く欲しくて、急いで結婚したんです。条件が合う人と。優しいし、年収も安定していたし、子供も欲しいと言ってくれていたから

結婚して三年。子供は授からず、不妊治療が始まりました。
最初の数ヶ月は二人で病院に通っていたそうです。
けれど、検査の結果、原因は彼女側にあるとわかったあたりから、夫の足が病院から遠のいていきました。
注射の日に「仕事だから」と言われる回数が増え、ついには「俺はもう、いいよ」と言われた、と。
彼女は私にこう言いました。
私、この人の何を見て結婚したんだろう、って思いました
子供が欲しい、という気持ちで結婚相手を選ぶこと。
それ自体は何も悪くありません。
けれど、その願いを最初に置いてしまうと、本当に見るべきだった「隣にいてくれる人かどうか」が、見えなくなることがあります。
この記事は、子供を望む人にも、望まない人にも、まだ決められない人にも、読んでほしいと思って書いています。焦らせるためではありません。婚活で「子供のこと」を、もう少しだけ深く考える材料にしてほしいのです。
「子供が欲しい」も「いらない」も、どちらも責められる気持ちじゃない
最初に、これだけは言っておきたいのです。
もちろん「子供を持たない」という夫婦の選択もあっていいと思います。

独身を貫くことに何の問題もありません。
綺麗事として書いているのではありません。
婚活の現場には、
- 「子供は欲しくない」と書くと相手が見つからない、と悩んでいる女性がいます。
- 逆に、「絶対に子供を産みたい」と書くと「重い」と思われる、と気にしている男性もいます。
- 「子供どっちでもいい」と書く人は、本当にどっちでもいい人もいれば、決められなくて逃げている人もいる。
正解なんて、ないのです。
しかし、子供を育てる充実感というものは、他の何物にも代えられない素晴らしいものでもあります。私自身、現場でその表情を何度も見てしてきました。
成婚後に久しぶりに会った方が、子供の話をする時の顔。
疲れも、寝不足も、お金の心配も全部抱えているはずなのに、その表情だけは別物なのです。
だから、「子供が欲しい」と思う気持ちを、自分で否定する必要は一つもありません。
- 欲しい人は欲しいと言っていい。
- いらない人はいらないと言っていい。
- 決められない人は、決められないままでもいい。
そこから始めましょう。
ただ、もしあなたが「子供が欲しい」と望んでいるなら、避けて通れない現実が一つだけあります。
それは、自分の身体のことです。
婚活で見落とされがちな「年齢と身体」の現実
日本では、不妊に悩むカップルが約7組に1組と言われています。
一般的な出産年齢は20〜34歳。

35歳を過ぎると、子宮や卵巣の機能は急激に変化し、不妊や流産のリスクが上がる、というのは、もうご存じの方も多いはずです。
データの説明をこれ以上長くするつもりはありません。
問題はここからです。
女性がリスクなく「子供を産みたい」と思うなら、一日でも早く結婚を決めて、出産準備をした方がいいです。身体的なリスクを避ける意味では、必要なことです。
きついことを書いている自覚はあります。
shadow(影)を落とすような現実ですが、迷い続けて気づいたら40代になっていた、という方を、私は何人も見てきました。
もっと早く知っていれば、もっと違う選び方をしていたのに
と泣いた女性もいました。
だからこそ、あえて厳しい現実から目を逸らせずに、お伝えしたいのです。
それが、専門家としての私の責任だと思っています。
「焦って誰でもいいから決めなさい」と言いたいのではありません。「身体には期限がある」という現実から目を逸らさないでほしい、という話です。この二つは、似ているようで、まったく違います。
知ることは、焦ることではありません。知ることは、自分を守ることです。
ここまで読んで「また女性ばかり責められている」と感じた方もいるかもしれません。
けれど、ここから先こそ、男性に読んでほしい話です。
子供のことは、女性ひとりの問題じゃない
WHOの調査によれば、不妊原因が男性のみにあるケースが約24%、男女ともに原因があるケースが約24%。つまり、男性側に何らかの原因があるケースは合わせて半分にのぼります。
それなのに、不妊治療と聞くと、まず女性が病院に通う光景が浮かぶ。

ついつい男性は不妊の原因を女性側にあると無意識に思い込みがちですが、その意識の根を見つめることも必要です。
婚活の現場で、私はこの意識のズレを、本当に何度も見てきました。
そして、最近、特に多く見られるのが――
「セックスをしたくない」男性です。
妻のことを好きだし、女性に興味もある。性欲もある。
でも、セックスそのものへの興味だけが薄い、という摩訶不思議な心理的な現象です。
コンドームの売り上げは年々減少していて、原因は諸説ありますが、解決策は見えていません。
これに加えて、メタボリックシンドロームや糖尿病、高血圧、ストレス、うつ病からEDになる男性もいます。
精子の問題もあります。男性も40代後半になると精子の量や運動量が低下し、50代になると遺伝子異常も起こりやすくなる。お酒やたばこを好む男性に、特に多いと言われています。
女性と同じく男性も「子供を産みたい」と思ったなら、一日でも早く結婚を決め、出産準備をするべきです。
ここで、婚活中の男性にはっきり伝えておきたいことがあります。
「子供がほしい」とプロフィールに書いているのに、男性側のブライダルチェック(精子検査を含む結婚前の身体チェック)を受けたことがない、考えたこともない――それは、少し当事者意識が足りないと言われても仕方がないと、私は思います。
費用は数千円から二万円程度。
一度受けておくだけで、自分の身体の状態がわかります。
まだ結婚もしていないのに…
と戸惑う気持ちも分かります。
何も「責任を取れ」と説教したいのではありません。
女性にだけ年齢や身体の話をして、男性は何もしなくていい、というのはおかしい、というだけの話です。男性側にも準備期間が必要だ、ということだけは、知っておいてほしいのです。
身体のこと、年齢のこと、男女それぞれの準備。
ここまでは、「子供が授かるまで」の話でした。
ここから先は、もっと深い話になります。
結婚相談所で本当に見るべきは「授からなかった時、隣にいてくれる人か」
ここが、この記事で一番伝えたいところです。
結婚を考えるうえでよくよく考えてほしいのは、子供を第一に考えて結婚しても,子供ができない場合もあるということです。「結婚して、元気な赤ちゃんを産み、素直な子供に育てる」という理想が叶わない場合もあることを考えておかなくてはなりません。

冒頭に書いた、不妊治療の途中で夫が離れていったあの女性。
彼女の夫は、結婚前のプロフィールには「子供希望:あり」と書いていました。
条件は、何一つ嘘ではなかったのです。
ただ、「授からなかった時にどうするか」を、二人で話していなかった。
それだけの違いでした。
不妊治療には、タイミング法、人工授精、体外受精、顕微授精と段階があります。
保険適用でも数十万円、適用外なら一周期で五十万円を超えることもある。
何百万円も注ぎ込む夫婦も、ざらにいます。
数字より大事なのは、その時に隣で何が起きるか?
です。自分に問いかけてみてください。
- 目の前の相手と、毎月の通院に一緒に通えますか?
- 結果が出ない月、相手が泣いている時に、隣で黙って座っていられる人ですか?
- お金の話を、感情的にならずに二人でできる相手ですか?
- もし、原因が自分側にあったとわかった時、相手を責めずにいられる人ですか?
- もし、原因が相手側にあったとわかった時、相手を責めずにいられる、自分ですか?
これは、プロフィールを見ても絶対にわからないことです。
年収にも、学歴にも、趣味の欄にも、書いてありません。
もし不妊に悩んだ時、もし子供に障害があった時、もし母体に影響が出た時。その時、夫婦が力を合わせて乗り越えることになります。そこを見ずに、「子供希望:あり」のチェックマークだけで結婚を決めるのは、危ういのです。
「子供が欲しい」と思って結婚しようとする気持ちは分かります。
ですが、やはり結婚とは、男性は妻と、女性は夫とするものです。
何よりもまず一番に、愛する夫や妻のことを考えてください。
「この人となら、どんな困難でも乗り越えていける」――そう確信して初めて、結婚を決めてほしい、と思うのです。
「元気な赤ちゃんが生まれる」が当たり前ではない、という話
ここから、少し目を背けたくなるような、本当に重い現実の話をします。
でも、幸せな結婚の「その先」を生きるお二人には、どうしても知っておいてほしいのです。

授からないことだけが、結婚に潜む不確かさではありません。
不妊治療を経て、ようやく授かった命に、染色体異常が見つかることもあります。
羊水検査や着床前診断で、ダウン症や18トリソミーの可能性がわかることもある。
そして検査でわかった時、夫婦には重い選択が突きつけられます。
産むのか、産まないのか。
『産むべきだ!』
と他人が言うだけなら簡単です。
けれど障害を持った子供を育てるというのは、理想だけでは通用しません。
現実の連続です。
外野からとやかく言える問題ではありません。
ここで、あるお話を紹介させてください。
43歳で初めて授かった娘のはるのちゃんは、18トリソミーという疾患を持って生まれました。
1歳までに90%が亡くなるとされる病気で、はるのちゃんも1歳3ヶ月で亡くなりました。
もし出生前診断を受けていたら、娘には会えなかったかもしれない、という言葉があります。それでも、生まれてきたはるのちゃんと過ごした日々は、唯一無二のものだった、と。
ただ、こうも語られています。
病室の隣のベッドに、一度も見舞いに来ないお母さんがいた、と。
看護師に聞くと、子供の人工呼吸器を抜いて心中を図ろうとしたお母さんだったそうです。
その話を聞いた時、自分を恥じた、といいます。
我が子の病気にそれほど苦しんでいる母親がいることを、わかっていなかった、と。
胸が詰まるような現実です。
これは1つの例に過ぎませんが、子供を授かるという責任感や使命について、深く考えさせられる話です。そして、私が婚活の文脈でこの話を紹介するのは、感動させたいからではありません。
この問題は、どれだけ考えても、どれだけ議論しても、結論が出ることなんてありません。
ただ正解がないからこそ、一人で抱え込む必要はないのです。
晩婚化が進んでいる現在、とくに独身の方には、この問題は、じっくりと、時間をかけて考えてほしいと思うのです。
こういう答えのない問いを、一緒に黙って考えてくれる相手かどうか。婚活で見るべきは、そこなのだと伝えたいのです。
プロフィールの「子供希望」欄だけで相手を決めない
結婚相談所のプロフィール欄には、たいてい「子供希望:あり/なし/相手と相談」の項目があります。
私のように長年現場にいるカウンセラーから見ると、この欄は、

あまり信用しすぎないでください
とお伝えすることが多いです。
深く考えずに「あり」と書いている男性も、本心では迷っているのに「あり」と書いている女性も、どちらも実際にいるからです。
だから、お見合いやデートで、自分の口で確認してほしいのです。
ただし、聞き方にはコツがあります。初対面で、
子供は何人欲しいですか
と聞くと、相手は身構えます。
えっと、二人くらい、ですかね
と当たり障りのない答えしか返ってきません。
そうではなく、相手の人生観が見える聞き方をしてほしいのです。
お見合いで使える、人生観が見える質問例
- 「お子さんがいる人生って、どんな風にイメージしてますか?」
- 「もし子供ができなかった場合、夫婦としてどんな時間を大事にしたいですか?」
- 「子育てで一番大事にしたいことって、何だと思いますか?」
- 「育児って、どちらか一方が頑張るものだと思いますか?」
お子さんがいる人生って、どんな風にイメージしてますか?
――これだけで、答えは全然変わります。
- 「うーん、休日に一緒に出かけたい」と話す人もいれば、
- 「正直、自信ないんですよね」と本音をこぼす人もいる。
- 「妻と二人の生活も、それはそれで、と思ってます」と返ってくることもあります。
その答えに、嘘も正解もありません。
ただ、その人がどれくらい真剣に考えているか、どれくらい柔軟か、それが見えてきます。
そして、もう少し関係が深まったら、こう聞いてみてください。
もし、なかなか授からなかったら、どうしようと思ってますか?
これに即答できる人は、ほぼいません。
それでいいのです。
一緒に考え始められるかどうか、が大事なのです。
「考えたことなかった、ちょっと考えさせて」と返してくる人と、「俺は別にいいけど、お前次第じゃない?」と返してくる人とでは、その先が大きく違います。
プロフィール欄の「あり」「なし」は、あくまでも入り口です。
本当の答えは、二人で話す時間の中にしかありません。
子供のことまで一緒に考えられる人と出会うために
婚活をする際には、結婚の良い面だけを見るのではなく、その後の妊娠や出産のことまでも考えてほしいと思います。
そのために結婚相談所を使うなら、できれば、私のようにカウンセラーが一人ひとりに密着してくれる小規模な相談所を選んでほしい、と思っています。

大手のシステム任せのマッチングでは、こういう深い話まで踏み込んでくれる人が、なかなか見つからないからです。
ここまで重たい話を続けてきました。
最後に、これだけははっきりさせておきたいのです。
だから焦って誰でもいいから結婚しなさい、という話ではありません。怖がらせたいのでもありません。あとで一人で抱え込まないために、今のうちに見ておいてほしい、というだけの話です。
「この人となら、どんな困難でも乗り越えていける」――そう確信できる相手と、出会ってください。
まずは次のデートで、勇気を出して小さな質問を一つ、投げかけてみることから始めてみませんか?
そして、一緒に子育てをしていく最良のパートナーと出会ってほしいと願っています。たとえ、子育てが叶わなかったとしても、その時に隣にいてくれる人と。





