かつての配偶者を「見返す気持ち」だけでは再婚はできない!その理由とは
「元夫・元妻を見返したい」――その気持ち自体は、悪くない
離婚後、こう思ったことがある人は、少なくないはずです。
あの人より幸せになってやる

以前、ある女性の相談者がこう話してくれたことがあります。
離婚直後、元夫を見返したい気持ちに囚われて、婚活が完全に止まってしまっていた時期があった、と。
会う人、会う人を、無意識に「元夫より上か、下か」で比べてしまっていた。
今思えば、目の前の相手をひとりの人間として見られていなかった、と振り返っていました。
その方が気づいたのは――「見返したい」という感情だけで動いている間は、何人と会っても、何回マッチングしても、再婚には近づかないということでした。
結婚相談所のカウンセラーとして多くの再婚希望者を見てきた私からも、はっきり言えることがあります。
元夫・元妻を見返したい気持ち「だけ」で婚活している人は、再婚できません。
少しきつく聞こえるかもしれません。
でもこれは、あなたの感情を否定したいわけではありません。
誤解しないでほしいのは、「見返したい」という感情そのものが悪いわけではない、ということです。
冒頭で紹介した女性の相談者も、離婚直後は元夫を見返してやりたい気持ちに囚われていたと話してくれました。
その方が当時抱いた感情を、今になって「未熟だった」と切り捨てる気にはなれません。
当然の心理だからこそ陥りやすい罠
人間なら、辛いことがあったときに見返したいと思うのは当然の心理です。
怒りや悔しさをエネルギーに変えて前に進もうとしているのですから、むしろ自然な反応だと思います。
ただ、再婚のために登録に来られる方の中には、まれに私たちカウンセラーが頭を悩ませてしまうほど、どうアドバイスしたらいいのか考え込んでしまう方がいます。
その人たちに共通しているのが、見返したい気持ち「だけ」で動いていること。
現場で多くの方を見てきて言えるのですが、見返したい気持ちを手放せないときは、前に進んでいるようで、実は何も変わっていないのです。
会っても、断られても、次の人に会っても、心の中の景色は変わらない。
気持ちは元配偶者に向いたまま、目の前の相手に届かないんです。
見返す気持ち「だけ」で婚活すると、なぜ失敗するのか
理由を整理すると、大きく3つあります。
- ひとつめは、再婚相手を、無意識のうちに「見せつけるための存在」として見てしまうこと。元配偶者に「ほら、こんな素敵な人と再婚した」と突きつけたくなった瞬間、目の前の相手は人生のパートナー候補ではなく、舞台装置になります。本人にその自覚がなくても、相手は敏感に察します。
- ふたつめは、前妻・前夫より早く結婚することが目的化すること。「とにかく前妻よりも早く結婚したい」という動機で動くと、相手選びの基準がすべて「早さ」に従属してしまいます。相手の人柄よりも、「元配偶者より先にゴールできるか」が気になってしまうんです。
- みっつめは、スペックで選ぶようになること。「元配偶者より年収が高い」「容姿が整っている」「学歴が上」――そういう物差しで選ぶと、離婚に至った本当の原因と向き合わないまま、見栄えのする相手を探し続けることになります。

つまり、目の前の相手と向き合っているようで、実は過去の相手と戦っている状態になる。これが、見返したい気持ち「だけ」で婚活する怖さです。
ただ、こうして並べてみても抽象的でピンとこないかもしれません。
実際に現場で、これがどう現れたか――Aさんという男性のケースを紹介します。
【現場事例】元妻を見返したかったAさんが、仮交際相手に送ったメール
Aさん(男性)は、長く家庭内別居だった妻に40代半ばで離婚を切り出されました。
離婚後、2カ月程度で当相談所に登録に来られています。

そんなAさんと話をしていて、すぐに気がついたのは、こちらの説明を遮る場面が多く、どうしても上から目線に見えてしまう言い方が目立つことでした。
面談中、自分の主張をこちらの説明にかぶせてくる場面が何度もありました。
面談の中で、Aさんはこう公言されました。
女性はいくつになってもきれいでいるべき
男ぶりはそれほど悪くないものの、「うーん、もしかしたら夫婦関係でも、こういう言い方が出ていたのかもしれない」と思わざるを得ませんでした。
もちろん、これだけで離婚原因を決めつけることはできません。
ただ、相手が同じような言葉を受け続けていたなら、苦しかったかもしれないとは感じました。
さらに話を聞いてみると、とにかく前妻よりも早く結婚して、新しい生活をスタートさせたいとのこと。
離婚で精神的に落ち込んでしまったのは確かでしょうし、Aさん自身に「不安定な部分」があるのも、私たちカウンセラーにとって不安要素のひとつでした。
Bさんから届いた相談――「どう返信していいかわかりません」
しばらくしてAさんとマッチングし、仮交際中だった女性の登録者Bさんから相談を受けました。
Aさんと食事に出かけたあと、価値観が合いそうにないなと悩んでいたBさん。
その直後、Aさんから次回のデートのお誘いが来たものの、一旦お断りしました。
けれど――納得できなかったAさんから立て続けにメールが来て困っているというのです。
そのメールの内容を見せてもらうと、こんな文面でした。
再婚もせず、その年齢で病気になったらどうするのですか?誰も面倒を見てくれませんよ
今は声がかかるかもしれませんがそのうち紹介数も減りますよ
正直、文面を読み終えたとき、しばらく言葉が出ませんでした。
これはアドバイスではなく、相手の不安を刺激して、自分の方へ引き戻そうとする言葉に見えてしまうからです。
ところが、Aさん自身は、これを失礼な内容だと思っていなかったんです。
さらに驚いたのは、その後の追撃です。
失礼なメールを送り続けたあと、何事もなかったように、
次の休みには、ドライブに行きませんか?
あなたとはもう1度お会いしてもいいと思っています
と続くのです。
Bさんから「どう返信していいかわかりません」と連絡をいただいたとき、相手のカウンセラーと話し合い、最終的にお互いのカウンセラーが間を取り持って、交際は解消となりました。
Aさんもカウンセラーの話に納得したようで、引き続き婚活に励んでくれたようですが――。
ここがいちばん怖いところなのですが、
AさんはBさんを責め立てた意識がなかったんです。
悪意で書いたわけではない。
脅して言うことを聞かせようとしたわけでもない。
本人の中では、Bさんを心配して助言をしているつもりだった。
だから何事もなかったようにドライブに誘える。
少なくとも面談ややり取りを見る限り、Aさんには「離婚の原因に自分の言動が関わっていたかもしれない」という視点が、ほとんど感じられませんでした。
前妻に切り出された理由も、おそらく心の底ではわかっていなかったのだと思います。
これはAさんだけの特殊な話ではありません。離婚後の傷がまだ生々しいとき、人は自分の不安や怒りに引っ張られて、相手の気持ちを見る余裕をなくしてしまうことがあります。
離婚後すぐの婚活が危ない理由|あのメールは「心が揺れている証拠」だった
ここで一度立ち止まって、Aさんの状況そのものを見てみたいんです。
Aさんが送った「病気になったら誰も面倒を見てくれませんよ」というメールを見た瞬間、カウンセラーとして「これは心が揺れている証拠だ」と確信しました。

脅すような文面のすぐあとに、何事もなかったかのように「ドライブに行きませんか?」と続く。
この振れ幅は、心が落ち着いている人の文章ではありません。
しかも、Aさんは離婚後2ヶ月で当相談所に登録に来られ、離婚後から婚活中も心療内科に通っていらっしゃるということでした。
その状態で、無理に相手を探そうとされている姿は、正直、痛々しくもありました。
ここで誤解しないでほしいのは、心療内科に通うこと自体は何の問題もないということです。
問題なのは、その状態のまま、結婚相手を「探さなければ」と自分を追い込んでしまうこと。
不安定な精神状態で見つけた相手とは、同じように不安定になったり、相手に必要以上の負担をかけてしまったりして、長続きしにくいものです。
もちろん、心が揺れている時期に誰かと出会ってはいけない、という意味ではありません。
ただ、自分の不安を相手に埋めてもらおうとしている状態だと、関係が苦しくなりやすいのです。
Aさんがあの文面を「失礼だ」と気づけなかったのも、ご自身の心が揺れていて、相手を見る余裕がなかったからだと思います。
いや、むしろ、離婚によって肉体的・精神的バランスが崩れていたからこそ、今回のような間違った選択をしてしまったのかもしれませんね。
焦りが相手に伝わってしまう怖さ
40代・50代の方の婚活は「時間がない」と焦る方も多いものです。
焦るなと言われても、焦ってしまうのがこの年代の婚活です。
周りの再婚、親の年齢、自分の体力、老後の不安。
いろいろなものが一気に押し寄せてくるからです。
ただ、そのことでイライラしたり、精神的に不安定になったりしては元も子もありません。
年齢の数字に追われて動けば動くほど、相手に伝わるのは「焦り」です。
それは魅力にはならない。
立ち止まる勇気が必要なときがある、ということです。
次の相手を探す前に、自分の足元を見直すために。
Aさんに足りなかったのは「相手の気持ちを想像する一拍」
Aさんの場合、自分の気持ちを押し通すだけではなく、自分の発言を受け取った相手がどんな気持ちになるのかを考える必要があると感じました。
「病気になったら誰も面倒を見てくれない」とメールを送る前に、たった一拍でいい。

「これを受け取った相手は、どう感じるか」と想像する一瞬があれば、送信ボタンは押せなかったはずなんです。
- 送る前に一度だけ下書きに戻す
- 翌朝、もう一度読み返す
- 親しい友人に同じ言い方をするだろうか、と考えてみる
そんな小さな確認でいいんです。その一拍があるかないか。
これだけで、結果はまったく違ってきます。
もちろん離婚の原因は人それぞれですし、ただ単にお相手との相性もあるかと思います。
けれど、悔しくても、腹が立っても、別れた相手に「言われたこと」の中には、自分が改善するべき点が含まれているかもしれません。
ここで強調しておきたいのは、「全部自分が悪かった」と背負い込めという話ではない、ということです。
「自分にも何か関わっているところはあったかな」と、ほんの少し検証してみる。それだけで十分なんです。反省は、自分を責めるためではなく、次の幸せを壊さないためにするものです。
ただし、自分を責めすぎる人には別の注意がある
ただし、ここで一つだけ注意があります。
離婚原因を振り返ることと、自分を責め続けることは違います。
一方で、自分を責めすぎる癖がある人もいます。
たとえばDV被害を受けた人は「支配感」に苛まれ、自分自身の「心」を見失ってしまうこともあります。
その場合に強くお伝えしたいのは、
元配偶者にどう思われるかを基準にしている限り、離婚しても相手の支配からは抜けられていない、ということです。
「あの人ならどう思うか」「あの人を見返すには」――その軸で動いている間、人生のハンドルはまだ相手が握っています。
本当に自分がしたいこと・自分がどう感じるかを軸にする。相手基準で物事を考えない。これは、DVやモラハラの経験がある方にこそ、ぜひ意識してほしい判断軸です。
「自分にも悪いところがあったのかも」と「自分が全部悪かった」は、まったく違うものです。
前者は次に生かせる検証で、後者は自分をすり減らすだけ。
Aさんに足りなかったのは前者でした。
Bさんを傷つけた自分の言葉を、たった一度でいいから、Bさんの側から見つめ直すこと。
本当の「見返し方」は、早く再婚することではない
ここで「正しい見返し方」について整理しておきます。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 間違った見返し方 | 元配偶者よりとにかく早く再婚する/スペックの高い相手と再婚する |
| 本当の見返し方 | 自分自身がカッコよく(美しく)なり、再婚もして、心の底から楽しんで生きている姿が伝わること |

Aさんはまさに「間違った見返し方」の2つを兼ねていました。
「前妻より早く」「前妻が驚くような相手と」――その物差しで動いている間は、目の前の人が見えません。
早さや条件で選ばれた相手も、結局のところ、また合わなくなって離れていく可能性が高い。
では、本当の見返し方とは何か。
再婚することよりも、まずは今よりもっとカッコよくなって(美しくなって)、生き生きとした生活をして、周りの異性が寄ってくるようにすることがベストです。
少し大袈裟かもしれませんが、少しでもカッコよくなる(美しくなる)ことで、相手を見返すことにはつながるはずです。
(少なくとも一度は、深く関わった相手ですからね)
さらにカッコよくなり(美しくなり)、再婚もして、心の底から楽しんで生きている姿を見せて、元配偶者に「この人、変わったな」と思わせること。
それが最も良い見返し方だと思います。
ちなみに、現場で見ていると、こうした立ち直り方には男女で出方の違いを感じることもあります。
もちろん個人差はありますが、女性の場合、いったん気持ちを切り替えると、婚活中にみるみるうちに明るくきれいになって、新しい相手を見つけていかれる方が少なくありません。
現場感覚として、気持ちの切り替えが表情や雰囲気に大きく出る方は多いです。
立て直した先に、自然な再婚がある
Aさんの話に戻すなら、Aさんが本当に前妻を見返したかったなら、まず「あのメールを送らない自分」になることだったと思います。
スペックの高い再婚相手を見つけることでも、前妻より早くゴールインすることでもなく。
前妻が「この人、変わったな」と思うような自分に立ち戻ること。
ここを間違えると、婚活は苦しくなります。順序が逆なんです。立て直した先に、自然に再婚があるのであって、再婚を急いだ先に立て直しは来ない。
まとめ|再婚は、元配偶者に勝つためではなく、自分の人生を取り戻すためにある
Aさんが初めて少し力を抜けたのは、次の相手が見つかったときではなく、婚活を一度休むと決めたときでした。
Aさんは体力的にも精神的にも疲れてしまったようで、その後、しばらく婚活はお休みしたいという申し出がありました。

精神的に元気になってからの方が、Aさんによりマッチした素敵な女性が見つかりますよ!
と伝えた瞬間、Aさん自身が肩の荷が下りたような、ホッとした表情をされたのが印象的でした。
きっとAさんも、焦りや不安を感じながら活動されていたのだと思います。
前妻に勝つために、早く誰かを見つけなければ、と。
再婚を一旦手放したあの瞬間、Aさんの中で張り詰めていたものが、少しゆるんだのだと思います。
Aさんの一連の出来事を振り返ると、見えてくるのは結局シンプルな話でした。
見返したい気持ちが強いときほど、判断基準が「相手」になっている。
前妻にどう思われるか、前妻より早いか、前妻が悔しがる相手か――選ぶ軸が全部、別れたはずの相手側にある。
それでは、誰と会っても自分の人生は始まりません。
その婚活は、自分の幸せのためなのか。
それとも、元配偶者に勝つためなのか。
ここを一度見つめ直すだけでも、選ぶ相手も、かける言葉も、少しずつ変わっていきます。
辛い経験から、再び立ち上がるには大変なエネルギーが必要です。
そのエネルギーを、元配偶者に向けて使うのか、自分自身を取り戻すために使うのか。
婚活は、心の健康を取り戻してからでも遅くありません。ムキになって「とにかく早く新しい相手を見つけてやろう」と考えるのはオススメできません。立ち止まることは後退ではなく、次に出会う相手をひとりの人間として見られるようになるための、必要な時間です。
Aさんを見ていて改めて思ったのは、不安定な時期に相手を探すと、相手の欠点ではなく、自分の焦りで相手を判断してしまう、ということでした。
だからこそ、送信ボタンを押す前の一拍。次の相手を探しに行く前の一拍。
それが、再婚という長い道のりで、本当に効いてくるのだと思います。
まずは次に誰かへ連絡する前に、「これは相手のための言葉か、それとも自分の不安をぶつけている言葉か」と、一度だけ問い直してみてください。
その一拍が、次の幸せを守ってくれます。





