【シングル家庭の大学進学】ひとり親家庭でも大学に行きたいあなたが考えておくべき4つのこと
ひとり親家庭の大学進学は、両親のいる家庭以上に重い分岐点になる
奨学金を借りれば大学に行ける
――そう聞いて少しほっとして、すぐ不安になった方もいるのではないでしょうか?

うちは無理かもしれない、でも諦めさせたくない
この記事を開いた時点で、おそらくこの二つの気持ちが同時にあるのではないでしょうか?
お金が足りる気がしない。
でも、子どもの夢に「お金がないから無理」と言うのはつらい。
奨学金という言葉に救われそうになって、次の瞬間、それは借金だと気づいてまた怖くなる。
最近では大学のあり方や必要性が問われるようになってきましたが、それでも学歴は大きな価値を持ちます。
特にひとり親家庭の子どもたちにとっては、かなり難しい選択となります。
両親世帯なら片方の収入が崩れても支え合えますが、ひとり親家庭ではそのバッファが薄い。だから「なんとなく」では決められないのです。
ひとり親家庭の子どもたちにとって大学へ進学するかどうかは、両親のいる家庭の子どもたち以上に人生の大きな分岐点となります。
これは決して脅しではなく、日頃から多くのご家族やご夫婦の相談に乗っている結婚相談所カウンセラーの私、岡田が見てきた現実です。
そして何より、私自身も男手一つで二人の子どもを育ててきたシングルファザーだからこそ、その重圧や不安は痛いほどよくわかります。
お金の問題はもちろん、借りた後の数十年、大学で過ごす4年間、そして「なぜ大学に行くのか」という問いまで、親子で正面から話し合う必要があります。
この記事では、制度の名前を並べる前に、ひとり親家庭の親と子が後で「ごめん」と言わずに済むために、入学前・在学中・卒業後の3つのお金、奨学金との付き合い方、そして大学へ行く理由の決め方を、できるだけ正直にお伝えします。諦める前に、まず「いくら必要なのか」を具体的な数字で見ておきましょう。
母子家庭・ひとり親家庭の大学費用は「3つのお金」で見える化する
費用は、入学前・在学中・卒業後の3つに分けて考えると、現実が見えてきます。
入学前に必要なお金――ここが一番、見落とされる

意外と知られていないのが、入学金や前期授業料の支払いのタイミングです。
合格発表のすぐ後、だいたい2月〜3月に振り込まなければなりません。
国公立で30万円前後、私立文系で80万〜100万円、私立理系や医療系ならもっとかかります。
ところが、日本学生支援機構の奨学金は入学後の振込です。
つまり、入学金は奨学金では払えない。
ここで多くのひとり親家庭がつまずきます。
受験料、遠方なら受験のための交通費・宿泊費、入学準備の費用、地方から都市部に出るなら下宿の敷金礼金まで含めると、入学前に50万〜150万円のキャッシュが要ります。
在学中に毎月かかるお金
授業料に加えて、教科書代、通学定期、下宿なら家賃と生活費。
自宅通学でも年100万円前後、下宿なら年200万円を超えるケースが珍しくありません。
卒業後に返すお金
そしてこの3つ目が一番重い。
借りた奨学金は数十年単位で返すことになります。
数字を出すのは怖がらせるためではありません。「うちはいくら足りないか」を計算できる形にしておかないと、対策の打ちようがないからです。足りない分をどう埋めるか。まず使える支援制度を整理しましょう。
ひとり親家庭が使える奨学金・支援制度と、貸与型に潜む落とし穴
奨学金には、返さなくていい「給付型」と、返さなければいけない「貸与型」があります。
ひとり親家庭の親子がまず見るべきは、給付型です。

給付型を全力で取りに行く
国の高等教育修学支援新制度では、住民税非課税世帯やそれに準ずる世帯に対して、授業料・入学金の減免と給付型奨学金がセットで提供されます。
ひとり親家庭の多くがこの対象に入ります。
これに加えて、次のようなものもあります。
- 大学独自のひとり親向け減免
- 自治体の進学支援金
- 民間財団の給付型奨学金
ただ、制度があるからといって、それだけで進学を決めてはいけません。
使える制度を全部使ってもなお足りない――そこから先が、ひとり親家庭の本当の判断になります。
一つずつ調べるのは正直しんどいですが、ここを面倒がるかどうかで、卒業時の借金額が100万円単位で変わります。
貸与型は「借金」と認識する
そして、ここが今日一番伝えたい部分です。
しかし、借りたものは返さなくてはなりません。
第二種奨学金の場合だと利子もつきますし、「奨学金であって奨学金ではない=借金と同じ」であることを、親子でしっかり認識しておく必要があります。
私は結婚相談所のカウンセラーとして多くの方のお話を聞いてきましたが、社会人になってから奨学金の返済に苦しみ、結婚への一歩を踏み出せない人を何人も見てきました。
「奨学金」という柔らかい響きに油断するのではなく、金融機関から借りる教育ローンと本質は同じだと考えてください。
給付型を最大限使い、貸与型は最終手段。それでも借りるなら、借りる前に必ずやっておくことがあります。
奨学金を借りる前に、親子で返済シミュレーションをする
ここから先は、不安を煽るためではなく、借りる金額と返す形を決めるための話です。
「自分の子どもが大学生になる頃にも、自分の奨学金を払っている」

こういうことも、本当に起こりえます。
夫婦関係や家族の悩みを聞く中でも、自分の子どもが中学生・高校生になった今もまだ奨学金を返している親御さんの話はよく耳にします。
第二種奨学金を月10万円・4年間借りると総額480万円。
利子を含めて20年返済なら、月々の返済は2万5000円前後になります。
新卒社会人の手取りから、家賃・食費・通信費・税金が引かれた後の2万5000円。これがどれくらい重いか、想像してみてください。
返せなかったらどうなるか――滞納・信用情報・破産
しかし、こうした事実を自分の身に起こることとして現実的に考えられる高校生はごく少数です。
そして多くの若者が奨学金を返すことができず、次のような問題が現実に起きています。
- 返還を滞納してしまう
- 行方をくらましてしまう
- 破産してしまう
返済できなければ、ただ「困る」では済みません。
滞納すれば信用情報に傷がつき、クレジットカードも住宅ローンも組めなくなる。
最悪の場合は自己破産。
これは脅しではなく、奨学金返還の現場で実際に起きていることです。
だからこそ、借りる前に返す未来まで見ておかなくてはならない。
親が一緒に数字を見てあげる必要があります。
我慢する生活が、確かにある
奨学金を返す金額の分だけ、我慢しなくてはならない次のような事実から目をそらしてはいけません。
- 買い物
- 旅行
- ローン
結婚資金、車の購入、住宅ローンの審査――社会人の節目で必ず奨学金残高は影響します。
婚活の現場でも、毎月数万円の返済があることは結婚後の家計に直結するため、お相手やその親御さんから懸念され、将来のパートナー探しにおいて一つのハードルになってしまう現実が確かにあります。
親子で数字を見るための具体ステップ
日本学生支援機構のサイトには返還シミュレーターがあります。
親子で紙に書き出すべきは、次の5項目です。
- 借入額(月いくら×4年間で総額いくらか)
- 月々の返済額(卒業後、何年で返すか)
- 想定される初任給の手取り
- 家賃・食費・通信費・税金などの固定生活費
- 返済後、手元に残る金額
借りる金額を月10万から月5万に下げるだけで、卒業後の人生がまったく違ってきます。
「借りるか借りないか」ではなく、「いくら借りて、いくら返すか」を親子で決める。
借りる前に、卒業後の生活を見る。
これが奨学金との一番健全な付き合い方です。
返済の重さを理解したうえで、もう一つ親子で確認すべきことがあります。
それは「なぜ大学なのか」です。
「なんとなく大学」をやめる。大学へ行く理由を親子で言葉にする
ここで一つ、親御さんに正直にお伝えしておきたいことがあります。
就職するには有利、結婚にも有利、家を買うのも有利。

そんなの妄想です。
学歴の価値は残っていますが、職業によってはまったく関係ありません。
婚活市場においても、単に「大卒」というだけで有利になる時代は終わりました。
人間力や経済的な自立の方がずっと重視されます。
「大学に行けば何とかなる」「卒業すれば自然といい会社に入れる」――そういう曖昧な期待で進学を決めるのが、ひとり親家庭にとって一番危ない判断です。
大学でなければ取れない資格・仕事か確認する
進路を考えるとき、ジャンルではなく「どんな職業に就きたいか」で大学進学を考えましょう。
たとえば医師や薬剤師は大学卒業が資格の前提条件です。
これは大学一択。
ただし、医師や薬剤師などのように大学の卒業が必要な資格は、大抵学費もバカ高い分野です。
私立医学部なら6年で2000万円以上。
ひとり親家庭で目指すなら、国公立か学費減免のある大学を本気で狙う前提になります。
一方、弁護士は大学に進学しなくても、予備試験を突破すれば司法試験を受験して合格することができます。
もちろん相当な努力と覚悟は必要ですが、実際に何人もの人がその道で立派に弁護士としてがんばっています。
弁護士の多くが「大学に進学したこと自体に意味があったわけではない」と言っているのも事実です。
専門学校・資格取得で十分な進路もある
実際に、大学へ進学した後に進路を変更し、専門学校に通い直して美容師や看護師になった人は大勢います。
大学卒業後の就職に失敗し、他にやりたかったことを探して専門学校へ行く、というパターンもあります。
なぜそうなるのか?
それは、入学前に「何のために行くのか」を深く考える機会を持てなかったからです。
目的を見失ったまま大学に進むと、結果的に遠回りになってしまうことが多いのです。
たとえば、パソコンスキルを磨いてWEBデザイナーやエンジニアを目指すのであれば、無理に大学に進学する必要はありません。
むしろ、専門学校で実践的なスキルを磨く方がベストです。
逆に、WEB系の会社を経営したい、起業したいという明確な目標があるなら、大学で経営学を学ぶ意味は出てきます。
「大学か専門学校か」ではなく、「就きたい職業から逆算して、必要な学校はどこか」。この順番です。
ひとり親家庭では、時間とお金を無駄にできません。
だから、職業から逆算する。
これは贅沢な選別ではなく、生活の必然です。
やりたいことがわからない子を責めない
ただ、ここで多くの親御さんが直面するのが、「うちの子はやりたいことがない」という現実です。
本当に自分がしたいことがわからない、それを探すために大学へいく
現代の多くの子どもたちから聞かれる考えですね。
こうした考えに「考えが甘い」「お金がもったいない」と言う大人もいますが、したいことがわからない気持ちはよくわかります。
厳しい意見を投げかける大人たちもかつては、皆さん同様に悩みながら今を生きてきました。
だから、頭ごなしに責めないでほしいのです。
代わりに、子どもにこう伝えてみてください。
やりたいことが見つからないなら、やりたくない仕事を消去していくことで、逆から何がやりたいかを探ってみるのも手だよ
その上で、お金の制約をいったん横に置いて、自分本位で考える時間を子ども自身に持ってもらう。
それから、奨学金という現実と擦り合わせる。
順番を間違えないことが大切です。
ひとり親家庭の子どもが大学でぶつかる「周囲との温度差」
お金と進路の話に加えて、もう一つだけ、親御さんに知っておいてほしい現実があります。
それは、大学に入った後の話です。

金銭的なハードルを奨学金で乗り越え、ある程度の目的意識をもって入学した。
それでも、大学にはこういう同級生も中にはいます。
実家が裕福でバイトもしていない。サークルや飲み会に行ってばかりで、平気で単位を落とし留年もする……。
そんな同級生たちです。
親が学費も生活費も全部出してくれて、本人は何の不安もない。
もちろん、裕福な家庭の子全員がそうではありません。
でも、確実に存在します。
自分とは違い金銭的に恵まれていることや、明らかに低い勉強への意識を疎ましく思うこともあるでしょう。
ときには激しい怒りを覚えることもあるでしょう。
この現実に4年間向き合う必要があります。
同じ大学にいても、背負っているものが違う。奨学金という借金を抱えてその場にいる子どもと、親の財布で遊んでいる同級生が、同じ教室で4年間を過ごす。これは、入学する前に親子で覚悟しておくべきことです。
ここで子どもが取れる態度は、突き詰めると二つです。
彼らよりも高みを目指すのか、彼らと同じように怠惰な4年間を過ごしてしまうのか……。それは本人次第です。
大学生の間に自分がしたいことを見つけられる学生はほんの一部です。
意識的に行動を起こさなくては、あっという間に就職活動が始まってしまいます。
奨学金を背負って入る大学なら、なおさら4年間の使い方が一生に響きます。
これを入学前に親子で話しておくのと、入学後に子どもが一人で抱え込むのとでは、まったく違います。
後悔しないために、親・子・親子で今すぐやること
ここまで読んでくださった方が、明日からできることを整理します。
親がやること

制度の確認です。
- 高等教育修学支援新制度の対象になるかどうか
- 住んでいる自治体のひとり親進学支援
- 志望大学独自の減免制度
- 民間財団の給付型奨学金
そして入学前に必要なまとまったお金(入学金・受験費用・引越し費用)をどう準備するか。
借りる前に必ず返還のシミュレーションを行い、卒業後どういう風に自分のお金を使いたいのかを考えておきましょう。
子どもがやること
大学に行く理由を自分の言葉で言えるようにすることです。
周りの友達や先生の意見、お金の問題なども一旦忘れてみて、まずは「自分本位」で考えてみる時間を持ってください。
その上で、就きたい職業に大学が必要かどうかを調べる。
親子でやること
一つだけ。
借りる金額・返す金額・進路の目的、この3つを同じテーブルで紙に書き出して話し合うことです。
借金と同じ重みのものを、子どもに一人で背負わせる決断をしてはいけません。
一緒に決める。
それが親の最後の仕事だと、私は思っています。
まとめ|現実を見れば、ひとり親家庭でも大学進学の道は作れる
ひとり親家庭の子どもたちにとって大学へ進学するかどうかは、両親のいる家庭の子どもたち以上に人生の大きな分岐点となります。
ただ、「お金がないから無理」ではありません。

次のように現実を見て、使えるものを全部使えば、打てる手は意外とあります。
- 給付型奨学金
- 修学支援新制度
- 自治体支援
- 大学独自の減免
しかし奨学金は借金と同義に考える必要があり、多くの社会人が返還に苦しんでいる実情から目をそらしてはなりません。
「奨学金を借りれば何とかなる」という軽さは、卒業後の人生を確実に重くします。
そして最後に、結婚相談所の専門家である私からこれだけは言わせてください。
「なんとなく大学」は絶対に無駄!ということです。
もちろんサラリーマンを否定しているわけではありません。
でも、やりたいことがないからとりあえずサラリーマンになろう、というのは絶対にダメです。
目的のないまま4年間と数百万円を使って、なんとなく社会に出る――これだけは絶対にやめましょう。
やりたいことが見つからないなら、見つけるまで一緒に考えてあげればいい。よーく考えてみましょう。何かあるはずです。なければ、消去法で構いません。進路を選ぶ理由を親子で言葉にできれば、ひとり親家庭でも大学進学は十分に現実になります。諦めなくていい。でも、親子で動きましょう。まずは今夜、お子さんと一緒にテーブルに向かい合い、紙とペンを出すところから始めてみませんか?





