42歳/会社員/大学院卒/年収1200万女性の結婚相談所の婚活体験談
「普段から、男性に気持ちが動かないんです」から始まった初回面談
条件だけを見れば、結婚できない理由は見つからない。
けれど、本人の心だけがどうしても動かない。

婚活の現場では、そういう難しさがある。
初回面談で、42歳・年収1200万円・大学院卒の女性は、穏やかな表情のまま口にした。
普段から、男性に気持ちが動かないんです
そしてそのすぐあとに、譲れない希望として「話していて気持ちが動くこと」と言い切った。
声を落としたわけでも、告白めいた間を置いたわけでもない。
自己分析を事実として述べる、そういう言い方だった。
貿易会社勤務。
153cmで、清楚な印象。
受け答えは丁寧で落ち着いており、担当カウンセラーの岡田は「通常通り婚活ができそうな方」と記録している。
ただ、この「通常通りできそう」という見立てと、「男性に気持ちが動かない」という本人の自覚は、最初から静かに並んでいた。
冷たい人だったわけではない。
真剣だからこそ、誰にでも簡単に心を預けられなかった。
そして、この一言が、のちの2年間の婚活のすべてを決めることになる。
本当の壁は、年収でも年齢でもなく、「条件は合っているのに、心だけがついてこない」という本人の中にある落差そのものだった。
入会後1ヶ月で10名とお見合い。
全員成立し、全員終了。
その後も出会いは続いたが、19人目に至るまで結婚は遠いままだった。
42歳・年収1200万円・大学院卒の女性が結婚相談所に来た日|プロフィールと「譲れない一点」
プロフィールだけ並べれば、婚活市場で不利になる要素は見当たらない。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 年齢 | 42歳 |
| 職業 | 会社員(貿易会社勤務) |
| 年収 | 1200万円 |
| 学歴 | 大学院卒 |
| 身長 | 153cm |

だからこそ、この婚活が難航した理由は、条件だけでは説明できなかった。
お相手希望も、一見すると柔らかかった。年齢は自分の+10歳まで。
年収は問わない。学歴だけは大学以上。
少なくとも、条件を極端に狭めていたわけではない。
ただ、岡田がヒアリングシートに書き留めた一行が、他のどの会員ともこの人を分けていた。
その他:普段から男性に対して気持ちが動かない
本人から自然に出てきた言葉だったという。
そして続けて、譲れない希望をこう言い切った。
話していて気持ちが動くこと
年収も学歴も年齢差も問わない代わりに、「話していて気持ちが動く」という、数字では測れない一点だけは譲らない。
これは、わがままというより、自分にとって何が大切かを本人なりにわかっていたということだった。
高収入・大学院卒・40代という要素が目立つからこそ、ここを最優先に据える本人の真剣さが、かえって仕事のできる人らしい合理性として伝わってきた。
岡田自身、面談直後の第一印象をこう残している。
貿易会社勤務で、穏やかな印象の女性でした。受け答えも丁寧で落ち着いており、清楚でお綺麗な容姿も踏まえて、通常通り婚活ができそうな方だと思いました
つまり入会時点では、本人の自覚も、カウンセラーの見立ても、ずれていなかった。
気持ちが動きづらい自分と、そこを譲らない希望。
このギャップはあるが、これから出会う男性の中に「動く相手」がいれば解消する。
そういうシンプルな前提でスタートを切った。
この前提が、1ヶ月でいったん崩れる。
お見合い10人全員成立なのに、1人も先に進まなかった1ヶ月の記録
出足は、数字だけ見れば申し分なかった。
入会後、1ヶ月間で一気に10名とお見合いを組み、結果はいずれも成立。

男性からはいずれも印象よく思ってもらい、すべて成立――岡田の活動記録には、そう並んでいる。
清楚でお綺麗、年収1200万、大学院卒。
条件面と印象面の両方が揃っていれば、申込はまず通る。
42歳という年齢を不利に感じる場面は、この段階ではほとんどなかった。
問題はここから先だった。
仮交際に進んだ10人全員と、本人は3回目前後までは会っている。
「いずれの方もよほど合わない点がなければ3回目まで会っていた」。
外見や年収や話題の有無で雑に切り捨てたわけではない。
礼儀として、また自分の直感を信じきれない気持ちもあって、丁寧に回数を重ねた。
それでも、全員終了した。
何が悪かったのかを聞いても、明確な欠点が次々出てくるわけではない。
嫌いではない。人として悪い方でもない。
けれど、結婚相手として心が動かない。
本人が岡田に伝えた理由は、突き詰めればこの一言だった。
男性として意識することができず終了
条件が合わない、会話が噛み合わない、生理的に無理、といった分解された言葉ではない。
ひとまとめに、男性として意識できなかった、とだけ本人は言う。
こう書くと冷たく見えるかもしれないが、本人もそれを軽く扱っていたわけではない。
むしろ、会っても会っても気持ちが動かない自分に、本人自身が戸惑い始めていた。
ここで岡田が現場で観察したパターンがある。
一気に10人お見合いをすると気疲れする。
それにも関わらず誰とも先に進めないと、1件1件の終了が積み上がり、婚活そのものの意味が本人の中で見えなくなっていく。
10件という数は、成立率という意味では頼もしい成果に見える。
しかし、先に進まない10件は、本人の体感としては10回分の「心が動かなかった」を抱え込むことと同じだった。
1ヶ月の実績・お見合い:10件すべて成立・仮交際:10人全員と3回目前後まで継続・成婚退会への進展:0件・本人の終了理由:全員「男性として意識することができず」
1ヶ月で、本人は一度立ち止まり、面談1回目を申し出た。
話の合わない相手を避けたわけでも、外見で選り好みしたわけでもない。
それでも全員、途中で終わった。
このとき本人自身もまだ言語化できていなかった「見えない壁」が、岡田との面談で少しずつ形になっていく。
年収1200万女性の婚活でつまずいた「3つの見えない壁」|面談でほぐした10人分の仮交際
面談で岡田がまず行ったのは、抽象論ではなかった。
少しでも気持ちが動いた瞬間があったか、何が気になって別れたのか。

それを一件ずつリストアップし、10人分の仮交際を、場面単位で一緒にほぐしていった。
本人に原因を押しつけるためではない。
本人が何に反応し、何で気持ちが止まり、どこなら許容できるのかを、一緒に言葉にするためだった。
そこで浮かび上がってきたのが、3つの壁だった。
壁1|テンションではなく「知的な会話の深度」
面談を通じて見えてきたのは、話のテンションが高いかどうかではなかった。
本人の気持ちを最後まで立ち上げなかったのは、話題を投げたときに返ってくる角度や、本を読んだ感想を言い合ったときに相手がどこに反応するかの深さだった。
たとえば本の話をしたとき、あらすじで終わるのか、そこから何を感じたのかまで話せるのか。
美術館の話をしたとき、作品名だけで終わるのか、自分なりの見方まで言葉にできるのか。
そういう小さな差が、本人にとっては大きかった。
明るく盛り上げてくれる相手でも、返ってくるものが浅いと、本人の中で会話は続いていかない。
逆に、物静かな相手でも返しに奥行きがあると、気持ちが一段階動く――そういう手応えの有無が、10人分の会話の振り返りから洗い出された。
壁2|細かい所作に対する減点の重なり
そしてもう一つ、リストアップの過程でわかったのが、とても細かい所作などが気になって気持ちが盛り下がることが多い、という傾向だった。
- 食事のときの音
- 言葉遣いの粗さ
- 店員への態度
- メッセージの返し方の雑さ
単体では「小さなこと」と処理できる要素が、壁1の「会話の手応えのなさ」と重なったとき、本人の中で一気に気持ちが退いていた。
もちろん、細かいところが気になること自体を、すべて正当化すればいいわけではない。
結婚生活では、相手の全部を自分好みにそろえることなどできない。
ただ、その違和感を無視して進めばいいという話でもない。
岡田はここで、何が譲れない条件で、何が減点として流せる範囲なのかを、本当に結婚に必要な要素は何かという問いに戻しながら、本人と一緒に仕分け直している。
壁3|頑張りすぎないようにしたらぶっきらぼうになる
壁1と壁2を踏まえ、11人目からは戦略を変えた。
知的な会話が楽しめそうな方に絞り、かつお見合い時に、疲れないためにも変に頑張りすぎないことを意識する。
ところが今度は、こちらから絞ったはずの相手からお断りをされることが起きた。
さらに、力の抜き方が分からず、ぶっきらぼうになったケースも出てきた。
頑張りすぎると疲れる。けれど、頑張らなさすぎると相手に興味がないように見える。
この距離感は、婚活では案外難しい。
ここは岡田がアドバイスして修正している。
頑張りすぎないことと、そっけないことは違う。
自然体とは、相手への配慮を手放すことではない――その距離感を、具体的なお見合いの場面に沿って調整し直した。
お見合い数と結果の推移・1〜10人目:10件成立 → 全員「男性として意識できず」で終了・11〜16人目:成立1件、不成立5件(こちらから断り3件、断られ2件)・17〜18人目:全件成立 → 長く交際した方の終了ショックから、次に進んだものの無意識に前の方と比較し、やはり気持ちが動かず終了
数字の上では、入会直後の「全員成立」から明確に落ちた。
17〜18人目で成立率は戻るが、今度は交際が続かない別の理由が浮上した。
3つの壁が並んだ時点で、本人は婚活そのものへの希望を一度見失う。
そこで岡田は、条件の再定義ではなく、もっと根本的な問いを投げかけた。
2回目の面談で言語化された「相手に求めすぎていたもの」と、プロフィールで変えた4つの書き方
婚活に希望を持てなくなっていた本人と、岡田はもう一度、結婚をなぜしたいのかから棚卸しした。
この順番が、岡田の面談の特徴だった。

どんな相手なら気持ちが動くか、ではなく、なぜ結婚したいのか、から入る。
そこから、相手に求めるものと自分が負う負荷、それによって得られるものを考え、さらに過去の出会いを別の角度から振り返ってもらう。
そういう流れで、本人自身にもう一度、自分の婚活を読み直してもらう。
そして本人は、初めて「相手に求めるものが多かったのではないか」と実感した、と口にした。
これは、妥協しろという話ではない。条件を下げたわけでもない。
知的な会話は譲れない。
細かい所作の許容範囲も急には変わらない。
ただ、「これらすべてを最初から満たしている人を選ぶ」のではなく、「この人となら、話すうちに気持ちが動く余地がある」と判断できる相手の幅を、自分で狭めすぎていたことに気づいた。
そう言ったほうが近い。
大切なものを捨てるのではなく、最初から完璧にそろった相手だけを探す見方を、少し変える。その違いは小さいようで、婚活では大きい。
この気づきを踏まえ、心機一転、知的な方と出会えるようプロフィールを調整して、お見合いの申し込み等を再開。
岡田と本人で手を入れたのは、大きく4点だった。
- 自己PRに「知的な会話ができる相手を望んでいる」ことを隠さず書く。条件としてふんわりと匂わせるのではなく、自分が何を大事にしているかを最初から明文化する。テンション勝負の申込を減らし、会話の質で選びたい層に正面から届くようにした。
- 趣味欄の書籍や美術関連の記述を、読んだ本のジャンルまで踏み込んで増やす。「読書」「美術鑑賞」で留めず、何を読んでいるかまで出す。知的な方と出会える層を、プロフィールの段階で明確に変えた。
- 写真の表情を、整った無表情から柔らかい笑みへ差し替える。スペックで近寄ってくる相手ではなく、会話できそうな印象を感じ取って申し込んでくる相手の割合を増やすための一手だった。
- 相手希望条件の記述を、数字の枠を狭める方向ではなく、会話の質を拾える書き方へ書き換える。「大学以上」は残したまま、何を一緒に話したいかを具体的に書き足す。同じ条件下でも、マッチングの母集団の質を変えるためだった。
条件を緩めたのではなく、自分が何を求めているかを、相手から見て読み取れる状態に近づけた
――と言ったほうが実態に近い。
プロフィールを変え、見える相手の層が変わった。
そして19人目で、これまでとは違う速度で物事が進み始める。
19人目との成婚までの全記録|「初めて結婚が意識できた」と本人から電話が入った夜
18人と向き合っても動ききらなかった気持ちが、19人目で初めて違う反応を見せた。
19人目のお見合いは成立。

ここまでと違ったのは、成立後の本人の言葉だった。
広い目で見始めたせいか、お相手の良いところをたくさん見つけての交際成立
10人目まで続いた「男性として意識できず終了」の文体とは明らかに違う。
プロフィール調整で変わったのは相手の層だけでなく、本人が相手を見るときの目の幅でもあった。
欠点を探す目ではなく、良いところを受け取る目に変わっていた。
3つの壁を把握した上で、「この人とならその先がある」と判断できる余地を自分に許したこと――ここが、19人目だけ違った本当の理由だった。
転換点は、仮交際2回目のレストランデートだった。
岡田が、このあたりで思い切って結婚観を話すようアドバイス。
条件の確認ではなく、結婚という言葉を会話の中に置いてみる、という入れ方だった。
結果、ランチから話が尽きず、夜までたくさん話した。
その後、本人から岡田に電話が入る。
「初めて結婚が意識できた」
10人との仮交際でも、17〜18人目の再挑戦でも、出てこなかった一言だった。
「男性として意識できない」の反対側の言葉が、19人目で、昼から夜まで話し通した日の終わりに、ようやく出た。
岡田にとっても、その電話は単なる交際報告ではなかった。
2年間、言葉にしようとしてきたものが、初めて本人の実感として返ってきた瞬間だった。
そこから先の進展は、岡田の判断で折々にペースが調整されている。
仮交際3回目はあえて散歩と美術館にし、深い話は置いた――せっかく高まった気持ちが冷めないうちに、楽しく過ごす時間を一度挟むという意図だった。
4回目のディナーで真剣交際を申し込まれ、OK。
既に気持ちが出来上がっていた、と本人は言った。
真剣交際以降、岡田が優先して確認させたのは、一般的な段取り説明ではなく、このケース固有の論点だった。
- 子供に対する考え方
- 家事分担
- 家計について
1〜3回目のデートで一つずつ言葉にしてすり合わせる。
本人が知的な会話を譲れないタイプだからこそ、曖昧な合意のまま進めないことが、安心材料を積み上げる上で効いた。
4回目は家からIBJのセミナーに参加し、ライフプランを互いに話す。
5回目でプロポーズをされ、OK。
親御様への挨拶は、女性→男性の順に実家へ行きご挨拶。
注意点などはあらかじめカウンセラーから伝える、という流れで、大きなつまずきなく進んだ。
19人目に出会ってから、ここまで2ヶ月。
入会からは2年が経っていた。
出会うまで2年、出会ってから2ヶ月|岡田が見ていた「2年の意味」
2年と2ヶ月。
この差は、運の当たり外れで片づけていい差ではない。

そして、2年はただの遠回りでもなかった。
最初の1ヶ月で10人全員と成立したときから、この人の「出会うチャンスを作る力」は一度も弱まっていない。
19人目を特別に強く押したわけでもない。
では、前半2年のあいだに何が起きていたのか?
本人の中で動いていたのは、自分の気持ちが動く条件の言語化だった。
- 知的な会話の深度。
- 細かい所作の許容範囲。
- 頑張りすぎないときにぶっきらぼうに転がらない距離感。
- 相手に求めるものと、自分が負う負荷と、そこから得られるもの。
岡田との面談と、18人の仮交際が、一つずつ本人の言葉に置き換えていった。
後半2ヶ月は、その言葉が揃った相手と、順序通りに関係が進んだ期間だった。
仮交際2回目で「初めて結婚が意識できた」と本人が電話で報告したあの夜、前半2年の作業がそこで回収されたと言っていい。
岡田は退会時、成婚される方に出会うまで2年かかりましたが、出会ってしまった後はなんと2カ月での成婚。
会う会わないというご縁の大切さを知りましたと、短く記している。
長年この現場を見てきた人間が、この1件からあえて取り出したのは、マッチング理論でも条件戦略でもなく、会う会わないというその一点だった。
プロフィール上ではわからない相性は、実際に会って初めて見えてくる。
そして本人自身がこの2年から受け取ったものは、もう少し具体的な形をしていた。
相手に求めるものが多かったのではないかと実感した
2回目の面談の一言が、2年間の位置づけをそのまま言い当てている。
2年は、待たされた時間ではなく、自分の気持ちが動く条件を、自分の言葉にするための時間だった。年収1200万、大学院卒、42歳という数字でも、解像度が上がるまでは出会いは通過していく。逆に言えば、条件を下げる必要はない。解像度を上げれば、同じプロフィールからでも進路は変わる。
条件を変える前に、自分がどんな会話で心が動くのか、どんな違和感で気持ちが下がるのかを言葉にしてみる。
それだけで、次に会う相手の見え方は変わる。
担当カウンセラー:岡田





