美人だけどロボットみたいと言われた35歳女性
「美人だけどロボットみたい」と言われた35歳女性の婚活実話
顔はすごく美人だけれど、動きがロボットみたいで……
出会いの場のあと、男性に感想を聞くと、そう言っていた人がいた。

条件は悪くないはずなのに、なぜか恋愛に進展しない。
あなたも「隙がない」と言われた経験はないだろうか?
大阪でホームページ制作の仕事をしている35歳のAさんも、まさにそんな一人だった。
目鼻立ちのはっきりした細身の美人で、最初はどの男性からも好印象を持たれる。
なのに、恋愛には一度も発展しない。
彼女が私のところに相談に来たのは、35歳になったばかりのときだった。
どうしても結婚して子供がほしい
母親からの毎日の電話、待つだけのプライド、そして追い詰められた末の危うい決断――。
この実話は、決して珍しい話ではない。
私が現場で何度も見てきた、ごく一般的な婚活のエピソードだ。
条件は高望みじゃなかった。なのに進まない理由
Aさんの希望条件は、正直なところ厳しくなかった。
年齢は7〜8歳くらい上までで、仕事や収入にはそれほどこだわらない。

真面目に仕事をしている人なら大丈夫。
それがAさんの言葉だった。
ただ一つ、相手の男性には初婚を希望しており、とにかく子供を産むために結婚したいということが第一の条件だった。
- 35歳で子供がほしい。
- 条件も高望みしていない。
- 美人で、仕事もしている。
普通に考えれば、そう時間はかからないはずだった。
しかし、この切迫感の裏には、Aさん本人の意思だけでは説明できない力が働いていた。
母親の毎日の電話が、Aさんの婚活を歪めていた
そうこうしているうちに見えてきたのが、Aさんの母親からのプレッシャーだった。
未だ独身の彼女に毎日のように電話をかけてきては、あれこれと責め立てるのだそうだ。

結婚はまだなの? 子供はいつになるの? もうお付き合いしているの? ちゃんと婚活してる?!
これを毎日のように電話で言われ続けているのだ。
私は、彼女に相当強い強迫観念があるという印象を受けた。
彼女は母親の存在をひどく気にしているようだった。
両親の希望がここまで強いということは、何か事情があるのかもしれない。
家業を継がないといけないのか? 婿養子をとって実家を継ぐ必要があるのか?
と聞くと、
それはない
と言う。
では何なのか? 母親の気持ちはこうだった。
女性と生まれたからには、結婚して子供を産むものよ! 子供が出来ない夫婦がいるってことも理解しているし、仕方ないことだけれど、結婚もせずに独身でいることは許せないわ。
お母さんなりに娘の将来を心配する愛情ゆえの言葉だとしても、結果的にそれがAさんを深く追い詰めてしまっていた。
私は、一度母親と話をする機会が必要になるかもしれないと思いながら、まずはこう伝えた。
とにかく自分の思いを大切にしましょう。結婚するのはAさんなのだから、お母さんのことは考えず、まずは自分の理想像をしっかり持ってくださいね。
ただ、この母親からのプレッシャーが、後になってAさんの判断をどれほど狂わせるか、このときの私にはまだ見えていなかった。
「自分からは動かない」――美人なのに進展しない本当の理由
母親からのプレッシャーを受けながら、Aさんは出会いの場へと踏み出していった。
だが、そこで見えたのは予想外の壁だった。

ここで、Aさんが意外なことを言い出したのだ。
結婚相談所への入会はためらってしまう。
理由を聞いて、私は少し面食らった。
まずは出会いイベントやパーティーで頑張りたいんです! それか、個別の紹介をしてもらえませんか? 相談所の検索システムで、自分から男性に申し込みをするなんてできません。そういうシステムに掲載されて会ったことのない知らない人に見られること、そのものが嫌なんです。どうしても、リアルで会って決めたいんです!
今思えば、この時点で「自分からは動かない」というAさんの性質は、はっきりと表れていた。
私は方針を切り替えた。
私が企画する出会いイベントや、私が紹介するパーティーに参加してもらいながら、Aさんに合いそうな男性を個別に紹介したり、プライベートな合コンのような場を設けたりして、とにかく新しい出会いを増やした。
Aさんは美人だから、最初は良い雰囲気になるのだ。
しかし、こう言うと失礼かもしれないが、色気があまり感じられないのだ。
自分から男性を求める姿勢がなく、あっさりしすぎている。
気の合う友人にはなれるし、最初はモテるのだが、そこから先へ進展しない。
要するに、男性側が引いていたのは「美人かどうか」じゃなかった。「受け身すぎて心が見えないこと」だった。
男性たちに話を聞くと、あの「ロボットみたいで……」と言っていた人に加えて、次々とこんな声が出てきた。
隙がない
試されている感じがする
そして、
Aさんを幸せにする自信が持てない
とはっきり言う男性もいた。
わかる、その感想……と、正直なところ私も思った。
半年ほど、いろいろな男性と会ってもらった。
それでも、やはり進展しなかった。
Aさんはひどく悩んでいた。
どうやって改善すればいいのかわからない。
私なりのアドバイスはしたものの、なかなかすぐには結果が出なかった。
子供のことを考えれば急いだほうがいい。
相談所のシステムに登録してみない?
登録したほうが出会える数が劇的に変わるよ!
と何度か提案したのだが、そこは頑なに
NO
と言うのだ。
「ロボットみたい」と言われる正体は、冷たさではない。
自分からは絶対に動かないという、Aさん自身も気づいていない頑なさだった。
そして、その頑なさの根っこにあったのは、「男性が女性を幸せにするべき」という強固なプライドだった。
改善策が見えないまま時間だけが過ぎ、Aさんは追い詰められた判断を下していくことになる。
焦りが招いた二つの危うい決断――脂ギッシュおじさんと島根の農家
Aさんも自分なりに頑張ったのだろう。
ある日、Aさんが働く会社の取引先のおじさんと付き合うことになったと報告があった。

以前から猛アプローチを受けていた相手らしいが、10歳以上年上で髪が薄く、太った「脂ギッシュ」なおじさんだという。
Aさん本人が、
すごく気持ち悪いんですが、この際、仕方ありません
と言うのだ。
やばいな、この感じは……。写真を見せてもらうと、
Aさんは美人なのに本当にこれでいいのか?
と私が絶句してしまうほどの風貌だった。
しかし、Aさんはそのまま突き進んだ。
そして、デートの別れ際にタクシーの車内で無理をしてキスをしてしまったそうだ。
その瞬間、Aさんはゾクゾクッと激しい寒気が走ったという。
自宅に帰ってから、何度も吐きそうになりながら、狂ったように歯を磨いたと語っていた。
こうして、交際は終了した。
あの生理的に受け付けなかった男性とは絶対に一緒になれないと確信したのだ。
ただ、この経験はAさんにとって一つだけ収穫があったと思う。
自分の身体が拒絶するものには嘘がつけないということを、身をもって知ったことだ。
だが、Aさんが追い詰められて見失っていたのは、「相手を選ぶ目」だけじゃなかった。「自分から関わる姿勢」そのものが、まだ欠けたままだった。
その一件の直後、Aさんはパーティーで少し年上の男性と出会った。
見た目は普通。神経質そうで、あまり喋らない人だった。
島根で農家を営んでおり、お嫁さん探しのために大阪のパーティーに参加していたそうだ。
Aさんは、前回の破局からわずか1ヶ月後、
私、この人と結婚します!
と言い出した。
え?? 本当にいいのか? 実家から随分離れた島根の田舎に住まないといけないよ。大丈夫?
大丈夫です、私には時間がないんです!
おいおい、その男性のこと、本当に好きなのか?
真面目だし、変な人じゃないから大丈夫です。結婚します。
と、Aさんはひどく苦しそうに言うのだ。
好きかどうかではない。真面目で変な人じゃないから。
完全に消去法だった。
焦りが、まともな判断力そのものを奪っていた。
ああ、これはダメだ……。
私はそう判断した。
このまま本心を殺して結婚へと向かうAさんを、黙って見送ることはできなかった。
「なぜ結婚するの?」――Aさんが止まった問い
わかった。一度じっくり話をしよう
時間をかけて、とことん彼女の話を聞いた。

私の考えで彼女の結婚を誘導することはできないから、私はあくまで、彼女自身が何かに気づくためのサポートに徹した。
こうしなさい
ああしなさい
とは一切言わなかった。
私が聞いたのはこれだけだ。
なぜ結婚するの?
本当にこれだけだ。
その問いについて、時間を制限せずに話し合った。
とことん話し尽くした。
その対話の中で、Aさんの言葉がピタリと止まった瞬間があった。
私、ずっと、待ってたんです。今まで付き合った彼氏と結婚したいと思ったときも、結婚は相手が切り出すものと思ってました。私から結婚を匂わせるなんて……プライドが許さなかったんです。プロポーズを期待しては、期待通りにいかずイライラして相手に当たってしまう。それの繰り返しでした。男性が女性を誘ってくれるべきだって思ってたし、男性が女性を幸せにするものだって思っていました。
私はこれを聞いたとき、これがすべての答えだったのだと思った。
「ロボットみたい」と言われた理由が、ここにすべて詰まっていた。
彼女は決して冷たいわけではない。
自分から一歩を踏み出すことを、自らのプライドが許さなかったのだ。
だから、男性の前で不自然に固まってしまう。
隙を見せられない。
受け身のまま、相手が完璧にエスコートしてくれることだけを待っていたのだ。
そして結局、彼女は島根の農家へ嫁ぐことをやめた。
自分の本心と向き合ったことで、彼女を縛っていた「男性が誘うべき」という呪縛がようやく解けたのだ。
フラれた男性からすれば気の毒な話だが、これはもう仕方がない。
仕方がないことなのだ。
こればかりは、どうしようもない。
待つだけだったAさんが、自分から動いた瞬間に景色が変わった
自分の中で何かが変わったAさんは、これまでとはまったく違う動き方を始めた。
Aさんは結婚相談所に登録して活動することも決意した。

さらに出会いの数を増やしていこうかというタイミングだった。
彼女が友人たちと飲み会をしたとき、そこに同い年の男性が参加していた。
なんと年収800万円の上場企業に勤めており、性格も優しい男性だった。
ここからの行動が、以前のAさんとはまるで違ったのだ。
以前のAさんなら、こういう好条件の男性の前でもただ黙って待っていたはずだ。
相手がデートに誘ってくれるのを待ち、プロポーズしてくれるのを待ち、期待通りにならないとイライラして終わる。
その繰り返しだった。
しかし、プライドを手放したAさんは違った。
Aさん自身が当時をこう振り返っている。
彼氏にもプロポーズされなくて、無理をして付き合ったオジサンとキスしてしまって、島根県の農家に嫁ぐことも出来なくて……今までみたいなプライドを捨てて、自分から動かないとダメだなって思ったんです。それで、友達の飲み会にも自分から行って、結婚した彼には初めて自分からデートに誘って、結婚したいってことも、自分からお願いしました。プロポーズは彼からしてくれましたけどね。
- 自分から飲み会に行った。
- 自分からデートに誘った。
- 自分から結婚の意志を伝えた。
以前の「待つだけのAさん」なら、絶対にやらなかったことだ。
結婚に至るまでには小さな問題もあったが、その後は順調にゴールインを果たした。
春に結婚式を挙げ、今はとても幸せに新婚生活を満喫しているそうだ。
正直に言おう。
今回のケースにおいて、私は結婚相手との出会いには一切関係していない。
彼女は自身で見つけた相手と、私のサポートなしで結婚した。
今回の私は、いわば「別れさせ屋」だったわけだ。
まあ、こういうこともある。
しかし、決して「急に運命の人が現れた」わけではない。
彼女自身の動き方が変わったから、結果が変わった。
ただそれだけのことだと、私は思っている。
まとめ|Aさんが証明してくれたこと。ロボットみたいと言われても、プライドを手放して自分から一歩踏み出せば、婚活は動く
「ロボットみたい」と言われたAさんは、決して冷たい人間だったわけではない。
自分から動くことを、自分自身に許せなかっただけなのだ。

「男性が女性を幸せにするべき」というプライドが、男性の前で彼女の全身を固くさせていた。
変わったのは性格ではない。動き方だ。
- 自分から飲み会に行く。
- 自分からデートに誘う。
- 自分から「結婚したい」と伝える。
Aさんがやったのは、たったそれだけのことだった。
しかし、その「たったそれだけ」が、彼女には何年もできなかったのだ。
冷静でいること、知的でいることは、それ自体が悪いわけではない。
相手が受け取れる形で素直に気持ちを見せたとき、それは確かな魅力に変わる。
無理をしてでもと焦った経験で自分の身体の声を知り、島根の農家への決断を踏みとどまり、「なぜ結婚するの?」という問いの前で自身のプライドに気づいたAさんが、見事にそれを証明してくれた。
もしあなたが今、出会いの場で立ち止まっているなら、まずは「自分から声をかける」「好意を素直に出す」という小さな一歩を踏み出してみてほしい。景色はそこから、確実に変わるはずだ。





