逃げ恥結婚を望む「いきなり婚活女子」が増える理由|ロマンスはハイリスク・安定はノーロマンスな裏話
「どうして結婚相談所に?」と思う女性が、いきなり婚活を始める時代
先日、入会面談で出会った25歳の女性が、こう言いました。
もう恋愛はいいんです。普通に結婚できたら、それで十分です

若くて、感じも良くて、特別高望みもしていない。
マッチングアプリに登録すれば週末の予定がすぐに埋まりそうな、合コンに行けば真っ先に連絡先を聞かれそうな魅力的な方でした。
私が「どうしてこんな方が結婚相談所に?」と思わず内心驚いてしまうような女性でした。
そして、その方が入会から約三ヶ月で成婚退会していったんです。
もちろん、三ヶ月で成婚退会なんて全員に起きる話ではありません。
でも、
なったんです!!!!!本当に!!!!!
私が身を置いている婚活市場で、ここ数年こういう光景が増えています。
世間のイメージと現場の乖離
少し前まで、結婚相談所や婚活というのは「今まで恋愛したことがないような喪女・喪男しかいないフィールド」と思われていました。
少なくとも世間のイメージはそうでした。
ところが、現場に立っていると、その世間のイメージと目の前の現実がどんどん乖離していくのを感じます。
どうしてこの女性が結婚相談所に来ているんだろう?
最近では、そう思わず首を傾げてしまうような方が、ごく普通に婚活の扉を叩く時代になりました。
冒頭の25歳の女性もそうです。
プロフィール写真を撮ればすぐに申し込みが殺到しそうな方が、合コンも、マッチングアプリも経由せず、最初から相談所を選んでいる。
私自身、この仕事に関わるようになって妻を見送った後、人の出会い方というものを少し離れた場所から眺めてきましたが、ここ数年の変化はやはり質が違います。
いきなり婚活女子に共通する、現場で見た五つの条件
私たちカウンセラーが、内輪で「いきなり婚活女子」と呼んでいる女性たちには、共通点があります。
なぜわざわざ婚活を、と思ってしまうような条件がきれいに揃っているのです。

- 20代前半の女性であること
- 写真うつりがまあまあ可愛らしいこと
- 面談で話していて性格に角がないこと
- 年収や学歴に対して特別高い条件を出してこないこと
- 年上男性もOKで、一回り上くらいまでなら平気で受け入れる柔軟さがあること
この五つが揃った女性は、入会とともに猛スピードで成婚退会していきます。誇張ではなく、本当に三ヶ月、半年といった単位で退会届が出てきます。
理由は単純です。
年収や学歴、年の差にあまりこだわりを持っていないため、
一回り年上の婚活男性からすさまじいニーズがあるからです。
40代で結婚を焦り始めた男性会員にとって、20代前半で柔軟な感覚の女性ほどありがたい存在はありません。
条件のすり合わせに時間がかからない。
お見合いの段階で「年が離れすぎているから」と断られない。
結果として、需要と供給が瞬時にマッチして、あっという間に成立するのです。
合理的なマッチングの裏側
ここまで聞くと、本人にとってもお相手にとっても合理的で、何の問題もないように見えます。
実際、ご本人たちは満足げに退会されていきます。
けれど、私は引っかかるんです。
なぜ、この条件の女性たちが、恋愛をすっ飛ばしてまで結婚を急ぐのか?
若くて、可愛くて、性格もよくて、相手にも寛容で、その気になればどんな出会い方でもできそうな方々が、なぜ最初から「契約」のような場所に来るのか?
逃げ恥結婚の本音は「恋愛より、まず安心したい」
私が若かった頃の『ロングバケーション』や『101回目のプロポーズ』みたいなハイリスクなロマンスと、『逃げ恥』のような契約結婚では、もう価値観が完全に違うんですよね。
100回もお見合いに失敗した相手から猛烈なアプローチを受け続けたり、見ず知らずの女性が突然自宅に転がり込んできたりする。

当時のドラマで胸が躍った場面も、現実に起きたら通報を検討する案件になります。
昔の価値観を押し付けたいわけではありませんが、
ロマンスを感じるためにはある程度のリスクが必要なのだ
、ということだと思っています。
そう考えると、今の若い女性たちが恋愛より安定を選ぶ感覚も、少しわかる気がしてきます。
情報が多すぎる現代社会で、恋愛で無駄に傷ついたり消耗したりするのを避けたいと思うのは、当然の防衛本能なのかもしれません。
リスクを引き受けてまでロマンスを取りにいくより、最初から安心できる枠組みの中に入りたい。
その象徴が、いわゆる逃げ恥結婚なのだろうと思います。
「まず安心したい」という新しい標準
私の知人にも、こんなことを口にするアラサーの方がいたそうです。
誰かと住みたい。できれば男性と。でも結婚は制約が多いから、男友達みたいな人と契約結婚がしたい
最初に聞いたとき、私はこの感覚を理解するのに少し時間がかかりました。
けれど現場で若い女性会員と話していると、これはもう特殊な意見ではないとわかります。
むしろ「恋愛より、まず安心したい」という気持ちは、現代の若い世代の標準的な感覚に近づいている。
もちろん、結婚には制度面のメリットもあります。
- 生活費が半分になる
- 配偶者控除
- 家族手当
並べてみれば確かに無視できない金額です。
でも現場で見ていると、それ以上に大きいのは「恋愛で消耗せず、生活の土台を先に作りたい」という本音なんですよね。
ある会員さんは、面談で笑いながらこう言いました。
まずは安定、からの恋愛。それだとムダがないじゃないですか
私は、そのように豪語する気持ちもわからなくはない、と思いました。
一人で抱えていた不安が、二人になることで半分になる。
その安心感は、たしかに本物です。
けれど、どうだろう。
いきなり結婚から、順風満帆な家庭が生まれるのだろうか?
ちなみに私岡田、似たような同居で見事に「なんか違うな」となりました
少し個人的な話をさせてください。
ちなみに私岡田は、いきなり婚のようなメリットを求めて、男友達とルームシェアをしたことがあります。

お互い仕事が忙しく、家賃と光熱費を折半すれば生活が楽になる、という単純な理由でした。
- 料理が得意な方が夕食を作り、もう片方が後片付け
- 休日は別行動
- 喧嘩もない
最初の数ヶ月、私は本気でこう思っていました。
「このまま、結婚とかできたら楽じゃないか?」
と。
経済的にも合理的で、変な気を遣わなくていい。
当時付き合っていた相手とうまくいっていなかったこともあって、「恋愛なんかより同居のほうが快適だ」と本気で感じていました。
同居生活で感じた「違和感」の正体
ところが、半年も経たないうちに——
「なんか違うな」
となって、見事にルームシェアを解約しました。
理屈では説明できないし、相手に不満があるわけでもない。
生活はむしろ円滑に回っている。
それなのに、家に帰っても「ただいま」と言うべき相手がいない感覚が、どうしても消えなかったんです。
後年、妻と所帯を持って、亡くすまでの十数年を一緒に過ごした後で振り返ると、あの時の違和感の正体がわかる気がします。
もちろん、同性の友人との同居と、男女の夫婦の結婚生活が違うのは大前提です。
しかし、生活を共にすることと、人生を共にすることは、似ているようで違うのです。
安心と効率だけで設計された同居には、相手のために何かをしたいとか、この人の機嫌が今日は気になるとか、そういう湿度のある感情が入り込む隙間がなかったんです。
そして、これは私個人の感傷ではないと思っています。
婚活で結婚した会員さんのお話を聞いていると、こんな声を聞くことがあります。
婚活で結婚相手が見つかって、たしかに幸せなんだけど、やっぱり普通の恋愛にも憧れる
条件で結ばれた関係は、安定を手に入れた後で、ふと「自分はあの人に選ばれたかったのだろうか?」と思う瞬間がやってくるのです。
安定だけで作った家は、雨風はしのげても、寂しさはしのげるのだろうか?
若いいきなり婚活女子の参入で、婚活市場で何が起きているか
この傾向は、20代・平成生まれの女性に強く出ています。
つまり、いきなり婚活女子と分類される女性は比較的若年層であり、その若い女性たちが続々と婚活市場の扉を叩いている。

これが何を意味するか?
年上男性の需要は、その若い女性層に一気に流れていきます。
条件を絞らず、年の差も気にしない女性が同じ市場にいれば、男性側がそちらを選ぶのは自然なことです。
結果として、30代・40代で高望みをしている女性は、婚活の難易度がこれまでよりも上がってしまう。
これが現場の肌感覚としての現実です。
限られたパイを巡る厳しい現実
業界でよく引かれる数字に、
25歳から34歳の未婚男性のうち、実際に年収600万円以上の方は3.5%程度しかいない
、というものがあります。
年収600万円以上で、見た目もそこそこで、性格も穏やかで、独身の男性、という条件をすべて満たす方は、想像以上に少ない。
その少ないパイを、20代の柔軟な女性たちと取り合う構図になりつつあるんです。
(現場のリアルな現実として、現在婚活中の30代・40代の女性には非常に耳の痛い話かもしれません。
ですが、限られたパイの中でどう戦うか戦略を立てるためにも、絶対に知っておいていただきたい事実なのです)
私自身、自分の妻と出会ったときのことを思えば、条件を細かく数える前に何かが起きた、という記憶のほうが先に来るので、偉そうなことは何も言えないのです。
ただ、市場の現実を踏まえずに婚活を続けても、消耗するだけになります。だからこそ、やみくもに続ける前に一度、自分が本当に何を欲しているのかを整理する時間が要るのだと思います。
逃げ恥結婚に憧れる前に、自分に聞いてほしい二つのこと
最後に、結論めいたことを書きます。
とはいえ、いきなり結婚を肯定するつもりも、否定するつもりもありません。

私は第三者的な観察者の立場で、結婚相談所の現場を眺めている人間に過ぎないからです。
ただ、もし今これを読んでくださっている方が、逃げ恥のような結婚に憧れているのなら、選ぶ前に二つだけ自分に聞いてみてほしいと思います。
- 自分が欲しいのは、安定なのか、恋愛のドキドキなのか、それとも敬意のある共同生活なのか。三つは似ているようで、違うものです。
- いま自分が選ぼうとしている形は、本当に自分が選んでいるのか、それとも市場の空気に押されて選ばされているのか。
恋愛の大冒険をしたい人もいれば、安心できる生活から始めたい人もいる。
どっちが偉いという話ではなくて、自分が欲しいものを間違えないことが大事なんですよね。
結局、自分が何を欲しているのか。
恋愛のドキドキなのか、安心して暮らせる土台なのか。
まずは自分の本音を言葉にしてみるだけでもいいんです。
もし一人で整理するのが難しければ、規模が小さく、カウンセラーが一人ひとりに伴走してくれるタイプの結婚相談所の無料カウンセリングなどで、話を聞いてもらうのも一つの手です。
条件のマッチングを急ぐ前に、まず自分の輪郭をもう一度なぞる。その時間をしっかり取れる環境を選ぶことが、後悔しない婚活への近道だと、岡田は現場で見てきて強く感じています。





