アメリカなどでは当たり前のように聞かれる言葉、ステップファミリー。
日本ではまだそこまで認知度は高くありませんが、「ステップファミリー」とは、子連れ再婚をしてできた家族のことを指す言葉です。
夫と妻のどちらか、もしくは両方が、離婚した前のパートナーとの間に子どもがいる状態で再婚した場合に「ステップファミリー」となりますが、あまり公では語られないことだけに「どんな感じになるのか全く想像がつかない」という人もきっと多いはず。
この記事では、主に女性側の視点から、どのような問題が起こり得るか、そして、新しい家族を築き幸せになるためにはどうしたら良いかについて触れていきます。
日本で多いのは<女性が子連れ・男性が初婚>というパターン
日本の場合、圧倒的に女性側がバツイチ子連れであり、それに加えて男性が初婚のパターンが多いと言われています。
男性側にも婚姻歴があったり前妻との間に子供がいたりする場合、たとえ血が繋がらなくとも、子供との接し方や子育てについて理解することはそう難しくはないはず。
しかし、男性が初婚の場合、結婚と同時に「夫になる」「父になる」という2つの役割を担っていくことになるため、しっかりとその点について話し合っておく必要があります。
我が子や”新しい父親”になるあなたの交際相手、それからあなた、それぞれみんなが幸せを感じてこその再婚。
誰かひとりでもつらい思いをしていたり、ストレスを抱えていたりしては本当の家族にはなれません。
家族みんなが円滑にコミュニケーションを取り、家族仲が良好になることを心がけることが大切です。
また、女性が子連れ・男性が初婚の場合には、男性側の親御さんの反応も気になるところ。
なかなか理解が得られず苦戦している場合は、再婚であることや子連れであることへの「納得できる理由の説明」のほか、あなたの人となりをしっかりアピールしていくことが大切です。
子供やパートナーの気持ちと起きやすい問題
母であるあなたを挟んで、新しく築いていく血の繋がらない親子関係を含んだステップファミリー。
やはり、一般的な初婚の家庭よりも様々な問題を抱えやすいと言われています。
起きやすい問題にはどのようなことがあるのでしょうか?
そして、子供やパートナーはどんな思いを抱いているのでしょうか?
ひとつずつ見ていきましょう。
【ステップファミリー】子供の気持ち
まず大前提として、一番に尊重すべきなのは子供の気持ちだということを常に意識しておく必要があります。
「親」という存在は子供にとって非常に大きく、また、成長に深く関わってきます。
多くの子供にとって”新しいお父さん”は”3人目の親”になるわけですから、子供は多かれ少なかれ戸惑いや悩みを抱きます。
元夫と子供との現在の関係や子供の年齢にもよりますが、両親が離婚しても子供にとっての”血の繋がった本当の父親”は世界にただ一人だけ。
表面上は新しいパートナーと仲良くやっているように見えても、誰にも言えない心の葛藤を抱えていることも十分あり得ます。
子供が赤ちゃんのときに離婚して面会等もしていない場合、子供が抱く”父親”のイメージがほとんどないことから、すんなり”新しいお父さん”に馴染めるかもしれませんが、そういったケースでない限り、少なからずモヤモヤした気持ちを抱えている子供が多いもの。
それは、子供にとって母であるあなたの再婚はとても喜ばしいものであることはわかってはいても、再婚によって、母と子だけの家族の関係には戻れなくなってしまったことに複雑な気持ちを覚えるため。
決して「本当のお父さんじゃないとイヤ!」「新しいお父さんなんて嫌い!」と思っているわけではなく、「お母さんを取られてしまうんじゃないか」という漠然とした不安や嫉妬、子供心に「うまくやっていけるだろうか?」と心配する気持ちを抱くのです。
できれば、再婚をする前にお子さんと<家族が増えること>について意見交換をしておくことをおすすめします。
あなたとしては「離婚して新しい家庭を築いたのだから元夫の話はNG!」としたいところかもしれませんが、お子さんの気持ちを尊重し、タイミングを見て話を聞いてあげる心遣いも必要です。
それは、妻側から見る元夫のイメージと、子供側からみる父である元夫のイメージには、温度差が生じるケースが十分にあるため。
お子さんが血の繋がった父親と新しい父親をどのように見ているか、どんなふうに感じているか、しっかりと受け止めてあげるようにしてください。
「新しい父親を『お父さん』とはまだ呼びたくない・呼べない」と子供が言うのであれば、ニックネームを考えるのも良いでしょう。
不安感やもどかしさから、反抗的な態度を取ったりワガママを言ったりする子も中にはいますが、それはお子さんからのSOSのサインである場合も。
しっかりと向き合い、お子さんの意見を尊重することが大切です。
たとえ1、2歳であったとしても、環境の変化に子供は敏感ですから、年齢に関わらずお子さんの気持ちやペースを一番に考えるようにしてくださいね。
・不安感やもどかしさから、反抗的な態度を取ったりワガママを言ったりする子も中にはいますが、それはお子さんからのSOSのサイン
・年齢に関わらずお子さんの気持ちやペースを一番に考える
<子供目線の再婚記事>
【ステップファミリー】パートナーの気持ち
子供がいることも理解したうえであなたと結婚したパートナー。
愛するあなたの子供だからこそ大切に育てたいと思っていても、血が繋がっていないがゆえに親子関係をどう築いていったら良いか迷ってしまうことも多いかもしれません。
その悩みを子供の母親であるあなたに相談することができずに、さらに悩みを深めてしまっている可能性もあります。
我が子と一対一で話す時間、そしてパートナーと一対一で話す時間の両方を取るようにすることがおすすめです。
そして、さりげなくパートナーと子供との橋渡し役になることを心がけてみてください。
また、「父親とはこうあるべき」という理想像や思いを彼に押し付けないことも大切です。
意見の相違などから夫婦仲がギクシャクしてしまうと、子供も居心地の悪さを感じてしまいます。
夫婦の幸せは子どもの幸せだと心得ておき、家事分担の相談から普段の何気ない会話まで、コミュニケーションをしっかり取ってお互いがお互いを思いやれる関係を維持していきましょう。
・さりげなくパートナーと子供との橋渡し役になる
・父親としての理想像や思いをパートナーに押しつけない
<理想のパートナーを探す再婚記事>
ステップファミリーに起きやすい問題とは?
再婚して新たにできたステップファミリーには、初婚家庭では見られない問題が生じる場合があります。
それはパートナーとの間の子供を持ちたいと考えているとき、そして血の繋がらない親子関係を構築しようと努力しているときに起きやすい傾向にあります。
ステップファミリーとして幸せに暮らしていくためには、問題が起きることを怖がるのではなく、起こり得る問題に対する対処法を想定して考えておき、準備しておく必要があります。
以下、起きやすい問題についてお伝えしていきます。
パートナーとの間に子供が出来ると、連れ子との扱いに差が出てきてしまうことも
パートナーとの間に新たな命を授かると、ステップファミリーの絆がより深まり、連れ子には兄弟姉妹が増えるという大きなメリットがあります。
しかし一方で気になるのは、パートナーが実子と連れ子の扱いに知らず知らずのうちに差をつけたりしないか、という点。
また、連れ子であるあなたの子供の心の中にも、言葉には出せない不安があるはずです。
そのような悩みをできるだけ最小限に抑えるためには、新しい家族が増える前に、現在のステップファミリーの絆を強固なものにしておく必要があります。
具体的な方法はそれぞれの家庭によって異なりますが……、たとえば、家族全員が本音を口にできる関係を築けているかどうかという部分もひとつのチェックポイント。
もちろん、思ったことを何でも口に出してしまう関係がよい家族関係・親子関係とは言い切れませんが、お互いの本心がわからない状況では、目指すべきステップファミリーにはほど遠いのではないでしょうか。
本当の親子ではないけれど、何でも話せる・相談できる、そんな信頼関係を育てていくことがとても大切です。
また、新たな命が誕生したあとは、より一層連れ子であるあなたの子供を夫婦で気にかける必要があります。
下の子にかかりきりになってしまう場合は夫にしっかりと上の子を見てもらい、「あなたのことを大切に思ってるよ」とフォローしながらお子さんの不安を解消してあげることが大切です。
・新たな子供が生まれたら連れ子をより一層気にかける
自分自身もパートナーも理想を目指しすぎると、お互いに失望してしまうこともある
「幸せな『ステップファミリー』を築こう!」という気持ちを、あなたとパートナーが持ち続けることはとても大切なことです。
しかしその気持ちがあまりに大きすぎると、時に空回りしてお互いを疲弊させてしまうことも考えられます。
幸せなステップファミリーを築くためには、完璧な家族ではなく、「血が繋がっていなくても何でも話せて信頼できるチームのような家族関係を作っていくこと」を、まず第一に考えるようにしましょう。
子供の年齢・環境・性格によって、幸せなステップファミリーの築き方は異なります。
一番重要視すべき部分は、お子さんのペースに合わせて、気持ちに寄り添った段階を踏むこと。
たとえなかなか我が子が再婚相手に懐かなかったとしても、強く叱ったり無理強いをしたりしてはいけません。
家族みんなで色々なところへ出かけたり、普段の会話を大切にしたりして、コミュニケーションをしっかり取るように心がけてみてください。
お子さんの好きなキャラクターやアニメに関連するテーマパークへ行ったり、家族でカードゲームなどをしたりすることで、少しずつ距離が縮まります。
焦らず、急かさず少しずつ、愛情を持って接していくことが大切です。
また、ステップファミリーとして暮らしていく中で、悩みごとや問題が出てきたときは、ひとりで抱え込まないようにしましょう。
夫や親、ときには子供も交えて、みんなで解決策を導き出すことで、より一層家族の絆が強まります。
もちろん、子供の悩みごとにもいち早く気づき、子供がひとりで抱え込まないよう見守ってフォローしてあげることが大切です。
最近では、ステップファミリーを応援するNPO法人もできてきていますから、「誰かに話したいけど、身内には話しづらい」というときなどはぜひ検索して活用してみてくださいね。
・迷ったらNPO法人M-STEPに相談
解決するには?
解決するには、困ってる、悩んでる、元気がない、などの辛い思いをしている人がいないかをチェックすることです。
コレしかない!
登場人物は、あなた、子供、新しいパートナー、そして新たな子供。
この4人の中で誰か1人でも困っている人がいないかどうかをチェックするだけです。
「そんなこと分かってるよ!」ってみんな言うんですが、落とし穴はたくさんありますよ。
一番分かりやすいのが、子供の扱い方です。
どちらかの子供を褒めたとします。悪いことをしていないので、この瞬間にはあなたも気づかないと思いますが、誰かを褒めるということは誰かと差をつけることにつながるのです。
だから、その際にはもう片方のケアをしましょう。
試験の成績で良い点を取ったことを褒めたら、もう片方も何かバランスの合う褒め言葉を与えてあげる。それは別に勉強である必要はありません。
同様に昔の思い出話は、新しいパートナーを傷つけるかもしれない。
例えばすでに旅行に行ったことがある観光地など。
旅行したことがあることが、行ってからバレたら、なんか気まずい雰囲気に。
こんな感じで、何気ない普段の行動にぎこちなくなるタイミングは隠れています。
ずーっとこの生活をつづけるということではなく、最初が肝心です。
そのうち、しっかりするべきところと、適当にしていいところの違いが分かってきます。
ステップファミリーの友人が周りにいない人は多いと思いますし、ファミリーごとに置かれている状況は異なります。
なので先ほどご紹介したNPO法人などを頼るのは、とても参考になると思います。
うまくいくコツだけでなく、うまくいかなくなった時にどう立ち直るか?立ち直らないとどうなってしまうのか、を知ることはとても勉強になると思います。
それでは最後にNPO法人のM-STEPについて簡単にご紹介します。
NPO法人M-STEPとは
NPO法人M-STEPは、2011年4月より活動をしているステップファミリーが抱える問題を社会が理解し、必要な支援が進み、暮らしやすい社会になることを目指している団体です。
また、予備軍にあたるひとり親家庭の支援として、シンママ、シンパパが暮らしやすい世の中になるための支援も行っています。
さまざまな活動を行っているので、その一部をご紹介します。
<M-STEPの活動内容>
相談の種類 | 相談内容 |
家庭問題相談カウンセリング | オンラインカウンセリングを活用(メール・電話・インターネット会議ZOOM)。 電話では毎週1回だけ無料相談。対面カウンセリングあり。 |
ピュアカウンセリング交流会 | ステップファミリーとシンママとシンパパのための交流会。 お茶会をしたり、ビデオチャットを使ったおしゃべりがメインの交流会。気軽に参加することができ、それぞれの状況を語り合える。 |
ツレ婚家庭(ステップファミリー)支援者養成講座 | 家庭問題にかかわる関係者向けの養成講座。援助者だけでなく、当事者の方でも悩みのプロセスを理解できるようなプログラムになっている。 |
講演講師の派遣 | ひとり親家庭の恋愛・再婚、子育て支援、ステップファミリー支援など家庭におけるカウンセリングテーマで講演やトークショーなどを企画・運営。 |
シングルマザーの出会いを応援 | シンママのための合コン「いちコン」を開催。まずはお友達を探す感覚で参加OK。 |
この他にも、カップルで大切なパートナーになるための「カップルレッスン」などもあるので、そちらもおすすめです。
自分たちだけで悩まず、M-STEPのようにステップファミリーを応援している団体の力も借りてみましょう。
まとめ
2017年度の日本の離婚率は、婚姻件数およそ61万件に対して離婚数21万件となっており、3組のうち1組は離婚しているというデータがあります。
また、離婚している夫婦が一番多い年齢層は30~35歳というデータも。
30~35歳といえば、女性はまだまだ妊娠出産が可能な年齢であり、男性も体力気力ともに充実している年齢ですよね。
そう考えてみると、日本でも欧米並みに男性も女性も子供を連れての再婚が当たり前になる、そんな社会もそう遠くないのかもしれません。
幸せなステップファミリーを築いていくためには、初婚とは違う努力や工夫しなければならない点も出てきます。
しかし、子供や家族みんなのことをしっかりと考え、愛情を持って関わっていくようにすることで強い信頼関係を築くことができるはず。
不安に感じることや疑問点などは、NPO法人など専門家に相談することもひとつの手。
ステップファミリーは「血は繋がっていなくても、心は繋がっているあたたかい家族」になれる可能性も秘めています。
焦らず急かさず、それぞれのペースを尊重して、あなたたちらしい家族のカタチを作っていってくださいね。