バツイチさんが離婚のトラウマを乗り越える方法
その「忘れられない」は、愛情ではなく傷の反応かもしれない
テレビをつけたら、ワイドショーで誰かの離婚が話題になっている。
コメンテーターの何気ないひと言が、まるで自分のことを言われているように胸に深く刺さる。

あれだけのことをされて、まだ引きずっているなんて
その声が、どうして今の自分に向けられているように聞こえるんだろう?
数年前、それともつい最近――離婚届を出したあの日から、新しい生活が始まったはずなのに、心はあの頃で止まったまま。
元配偶者のSNSをつい開いてしまった夜は眠れず、休日に家族連れの隣を通り過ぎるだけで息が浅くなってしまう。
まだ忘れられないのは、結局、自分があの人を一番愛していたからじゃないか
もしそう思って自分を責めているなら、どうか少しだけ立ち止まってほしいのです。
忘れられないのは、愛情の深さのせいじゃありません。傷ついた記憶が、まだ過敏に反応しているだけかもしれない。そう気づくだけで、ふっと肩の力が抜ける人がいます。
この記事では、離婚のトラウマを無理に消そうとするのではなく、少しずつ「人生の通過点」に変えていく道筋を、恋愛や夫婦関係の専門家として、現場で多くのバツイチの方を見てきた立場からお伝えします。
トラウマは必ず乗り越えられます。
この一文だけは、先に約束させてください。
「いちばん愛していたから忘れられない」という思い込み
夜、ふと元配偶者のSNSを開いてしまう。
何年も経つのに、なぜ自分はまだあの人のことを引きずっているんだろう?
これだけ忘れられないのは、結局、自分が一番あの人を愛していたからなんじゃないか
そう結論づけて、自分を責めてしまう人が本当に多いのです。
ここで、カウンセラーとして現場で見てきたお話を一つさせてください。
よくあるケースなのですが、
昔の相手が忘れられない。きっといちばん愛していた人だったからだ
と思い込んでしまう方がいます。
しかしこのパターン、実は愛情の深さゆえに「忘れられない」のではなく、「あまりにも悲しかった、辛かった」という強烈な体験によって、忘れられなくなっているのです。
少し考えてみてほしいのです。
交際当時や結婚生活の中で、ひどい言葉をぶつけられた、裏切られた、心をえぐるようなことをされた――それなのに、なぜ忘れられないのか?
穏やかな思い出だけが残っているならまだしも、思い出すたびに胸が痛むような場面ほど、頭に焼きついて離れませんよね。これは紛れもなく、愛情ではなく「トラウマ」が引き金となって忘れられないだけなのです。
あなたが今もあの人を思い出してしまうのは、愛しているからではなく、痛みが残っているから。
これがわかると、少なくとも
自分はまだあの人に未練がある弱い人間だ
という自己評価から、一歩降りることができます。
あなたは決して壊れてなんていません。
記憶が、まだ痛みに反応しているだけなのです。
離婚後のフラッシュバックは、こんな何でもない瞬間に起きる
トラウマというと、何か特別な瞬間に襲ってくるものだと思われがちです。
でも実際は、もっと地味で、もっと日常に紛れ込んでいるものです。

- 休日に商業施設で、子どもの手を引いて笑っている夫婦の隣を通り過ぎたとき。
- 職場で異性に何気なく優しくされて、なぜか身構えてしまった瞬間。
- 「夫」「妻」という単語が誰かの会話から聞こえただけで、耳が敏感に拾ってしまう感覚。
- 元配偶者と行った店の前を、別の用事で通りかかったとき。
そして一番厄介なのが、夜中に元配偶者のSNSを開いてしまった後の、あの自己嫌悪です。
なんで見てしまったんだろう?
もう関係ないのに
そう思いながら、また見てしまう。
時間が解決してくれる
とよく言われます。
でも、現場で多くの離婚経験者を見てきて思うのは、ただ時間だけを渡されて、その体験の意味づけを変える場所を持てなかった人ほど、月日が経てば経つほど不甲斐なさが膨らみ、悲しみが増していくということです。
何年経っても消えないのは、あなたが弱いからではない。傷の性質が、そういうものだというだけです。
では、この不意に蘇る記憶と、どう付き合っていけばいいのか?
最初の一歩から順にお話しします。
最初の一歩は「自分の離婚を、他人事として並べ直す」こと
最初にしてほしいのは、自分の離婚を、いったん他人事のように紙の上に並べてみることです。
書き出すときに大事なのは、設問に答えることではなく、こう自分に言い聞かせることです。

「まだ好きなんだ」と思ったときほど、一度こう見てください。それは愛情ではなく、傷が反応しているだけかもしれません。会いたいのではなく、あのとき言えなかった言葉を回収したいだけかもしれません。
その視点で、まるで友人の離婚話を聞き取るように、起きたことを淡々と並べていきます。
感情を無理に抑えなくて構いません。
書きながら涙が出ても、途中で
やっぱり相手が悪い!
と怒りが噴き出してもいい。
ただ、その感情を一度横に置いて、事実だけを書き出してみてください。
ここで一つ、注意があります。
客観視は、「なかったことにする」のとは違います。
自分のできごと、だけど自分のできごとではない
とまで完全に切り離してしまうと、あなたの記憶、体験、人格、現実そのものを歪ませてしまう危険があります。
もちろん、心の傷を癒すために多少の妄想を抱くのは間違いではありませんが、力を入れるべきは夢見心地の状態になることではありません。
あの結婚は最初から間違いだった
私は何も悪くなかった
と都合よく書き換えるのではなく、起きたことをそのまま、少しだけ距離を取って見るのです。
書き終わった紙は、その日のうちに捨ててもいいし、引き出しの奥にしまっておいてもいい。
大事なのは、頭の中でぐるぐる回り続けていた断片を、一度外に出すことです。それだけで、少し呼吸が楽になる人がたくさんいます。
客観視で少し距離が取れたら、次に直面するのが「異性とどう関わるか」という問題です。
異性と関わるか、いったん離れるか――答えは2つあっていい
トラウマがある状態で、異性とどう関わるか?
軸はとてもシンプルです。

いきなり恋愛に戻らなくていい。でも、異性を全部敵にしなくてもいい。
この対比だけ覚えておいてください。
少しずつ異性と話して、自信を取り戻していけそうな人は、職場や日常の会話を意識的に増やしていくといいでしょう。
無理して笑顔を作らなくても、業務連絡にひと言だけ雑談を添えてみるなど、ごく小さなステップで構いません。
すると、異性が必ずしもすべて元妻・元夫のような人間ではないということが、頭ではなく感覚として理解できるようになります。脳が恐怖心を忘れれば、もう気にせず自然に接していけます。
離婚は、たまたま組み合わせが悪かっただけだった――そう思える日が必ず来ます。
距離を置く場合の注意点
一方、異性といるだけで嫌な記憶がフラッシュバックする人は、いったん距離を置くのも一つの手です。
職場で完全に無視する必要はありませんが、二人きりで会うのをやめる、出会いの場には行かない。
今はそれくらいでいいのです。
ただし、距離を置くことには一つだけお伝えしておきたいことがあります。
あまり長い期間距離を置き続けてしまうと、一向に異性との出会いから離れてしまいます。
もう再婚する気がないこと自体は全く問題ありません。
しかし、異性を遠ざけすぎて社会的な交流まで閉ざして孤独を深めてしまうのは、あなた自身のこれからの人生にとって少しもったいないと思うのです。そのため、トラウマが薄れてきたら、焦らず少しずつ交流を再開していくことが大切です。
そして、距離を置いている間に何もしなくていいわけでもありません。
むしろ、同性の友人と過ごす時間を大事にしてほしいのです。
同性との楽しい食事や遊びの中で、ふと異性との出会いをまた求めたくなるかもしれませんし、気がついたらトラウマが気にならなくなっているかもしれません。
「再婚するために異性に慣れる」のではなく、「人として、人と関わる感覚を取り戻す」。
順番はそれでいいのです。
心を閉じきらなければ、いずれ扉は開きます。
記憶は消すのではなく、少しずつ上書きしていける
思い出さなければいい
と、記憶そのものを消そうとする人がいます。

でもこれは逆効果です。
無理やり忘れさせようとしても、トラウマを思い出す些細なきっかけは、日常生活の中にいくらでも潜んでいます。
なら、どうすればいいか?
心理学的に言えば、記憶はあとから意味づけを変えられると言われます。
でも、難しく考えなくて大丈夫です。
要は、あの出来事に別の注釈を付けてあげるということです。
悲しい記憶がふと蘇って胸が痛くなったとき、その記憶を必死に打ち消そうとしない。
代わりに、記憶に小さな注釈を付け加えていくのです。
「あれは愛情が残っているから忘れられないんじゃない。傷が深かっただけなんだ」と。
心の底からそう思えなくても大丈夫です。
歯を食いしばって
私は幸せ
と念じる必要もありません。
淡々と、メモを書き足すように、記憶の隅に小さな注釈を付け加えるだけ。
地道にコツコツ、あなたのトラウマになっている記憶をリニューアルしていく。
これが心の平穏を保ちながら、トラウマを乗り越える方法なのです。
そして、ある日ふと気づきます。
あの記憶を思い出しても、前ほど胸が痛まなくなっている、と。
もしくは、思い出すこと自体が減っている、と。
無理に思い出して大丈夫なの?
と心配に思う人もいるかもしれませんが、大丈夫です。
自然と忘れてしまったものの影響力なんて、全然ありませんから。
その瞬間こそが、立ち直りの証です。あなたは確実に立ち直っています。
気にせず、過去のものとして消去してしまいましょう。
ここまで読んで、それでも
再婚なんて怖い
と感じる人へ。
次は、再婚というテーマそのものを、結婚相談所の現場を知る私の立場から、少し違う角度でお話しします。
再婚は「克服のゴール」ではなく、一緒に乗り越える選択肢
ここで、結婚相談所の実情を知る立場から、はっきりと言わせてください。
離婚を乗り越える最大の方法は、やっぱり再婚です。これは理想論ではなく、現場で何度も見てきた結論です。

もちろん、
そんな簡単にできるんだったら悩んでないよ
と言われそうですが、あくまで理想のお話です。
トラウマがある以上、再婚なんて遠い話だと感じる人も多いはずです。
でも、だからこそ、再婚して新しい安心感で心が満たされると、あれほど毎日フラッシュバックしていた記憶が、嘘のように入り込む隙間をなくしてしまう。
そんなケースを私は現場で何度も見てきました。
誤解しないでほしいのは、傷がなかったことになるわけではありません。
でも、新しい安心の中に入ると、あんなに毎日思い出していた記憶が、ピタッと顔を出さなくなる人がいます。
あれほど引きずっていた人が、新しい伴侶と暮らし始めたら、ある日ふと
あれ、もう何ヶ月も元配偶者のことを思い出していないな
と気づく。
そんな人が、確かにいるのです。
ただし、もう再婚する気がないという選択も、それはそれで心から尊重されるべきです。
再婚だけが回復のかたちではありません。問題は、再婚するかどうかではなく、これからの人生で人と関わる感覚を閉じてしまわないかどうかです。
ここで一つ、誤解を解きたいと思います。
再婚=過去を一人で克服してから挑む試験
ではありません。
再婚する際に、過去の結婚にトラウマがあるということを理解してもらえたら、再婚相手と一緒に乗り越えていくことだって十分に可能です。
トラウマを抱えたまま新しい人と出会うことは、相手に迷惑をかけることだ――そう思って、自分から扉を閉めてしまう人がいます。
でも、すべてを一人で完璧に乗り越えてからでないと次へ進んではいけない、というルールなんてありません。
私にはまだ前の傷があります
と最初に伝え、それを受け止めてくれる人と歩いていく。
それも一つの尊い回復のかたちです。
出会いの場は、「数」ではなく「安全さ」で選ぶ
最後に、サイト管理人である岡田から一つ正直に書いておきます。
当サイトでは、通常は結婚相談所をおすすめしています。
結婚を前提とした出会いができ、私のようなカウンセラーが間に入って手厚くサポートできるからです。
しかし、トラウマを抱えている人の場合、まずは異性とのコミュニケーション自体に慣れることがトラウマ克服の大きな一歩となります。
そのため、最初は婚活パーティーなど、気軽に参加できる場を活用するのも一つの有効な方法です。
大事なのは、出会いの数を増やすことではありません。傷が反応しにくい場所を選ぶことです。離婚後の人に必要なのは、刺激ではなく、安心して確認できる環境です。
婚活パーティーで
異性と話すこと自体は怖くないんだ
という感覚を取り戻してから、本格的に相手を探したくなったら結婚相談所へ。
カウンセラーが間に入ってくれる場は、トラウマを抱えた人にとって、直接的なやり取りの刺激が和らぐ安全設計でもあります。
この順番が、トラウマを抱えた方には合うことが多いのです。
ここからは少し対象を変えて、当事者ではなく、身近な人に向けた話をさせてください。
身近な人にできる一番のサポートは、励ますことではない
ここからは、離婚で傷ついた人のそばにいるご家族やご友人へ向けて書きます。
もしもこれを読んでいるあなたが、誰かのことを思ってこの記事にたどり着いたのであれば、少しだけ私の話を聞いてください。

- 娘さんや息子さんが離婚を経験し落ち込んでいる。
- 仲のよい友人や先輩が離婚した。
そんなとき、何かしてあげたいと思うのは人間としてとても自然なことです。
でも、ここで言わせてください。
周囲の人にできる最大のサポートは、励ますことではありません。
それはトラウマの引き金となる刺激を与えないこと。
- 「何が悲しかったの?」「どうして離婚したの?」と根ほり葉ほり聞かない。
- 一緒に元配偶者の悪口を言ってあげようとしない。
- 「次はいい人が見つかるよ」と未来を急かさない。
向こうが離婚の話題を出すまで、いつも通りに過ごす。
これが一番難しくて、一番効くサポートです。
相手が語りたくなったときに、ただ静かに話を聞いてあげてください。相手がそばにいてほしいときだけに、そばにいてあげればいいのです。あなたから扉を強引に叩くのではなく、向こうが自分のタイミングで扉を開けるのを待つ。
人の気持ちは本人にしかわかりません。だからこそ、こちらが先回りして
こうしてあげよう
と動かないことが大切なのです。
何もしないことが心配になるかもしれません。でも、何もしないことそのものが、相手にとっての安全な場所になります。
離婚は人生の失敗ではなく、通過点に変えられる
最後に、当事者であるあなたに戻ります。
離婚を経験して、無事に再婚できた人も、離婚当時は深く悲しみ、傷ついていたはずです。

今は穏やかに笑っているあの人も、一年前、三年前には、あなたと同じように夜眠れず、SNSを開いては閉じていたはずなのです。
ただし、被害者の席に座り続けても、新しい扉は開きません。
もちろん、今はまだ
相手が100%悪い
と恨んでしまって大丈夫です。
ただ、心が少し回復して過去を振り返る余裕ができたとき、ほんの少しだけ自分の視点も変えてみる。
自分のこれまでの態度や言動なども見直してみる。
それが次の幸せへの鍵になります。
離婚原因のすべてが相手にあったとは限らない――この一行を心で受け取れた人から、次の関係は驚くほどうまくいきます。
人生の大切な通過点へ
トラウマとなった記憶とうまく付き合っていくことで、離婚は消えないトラウマではなく「人生の大切な通過点」へと変わっていくのです。
人間は忘れることができる生き物です。完全には消えなくていい。
傷は残っていてもいい。
ただ、その傷が、あなたの人生のどこに置かれているか――それは、これから少しずつ変えていけます。
トラウマは必ず乗り越えられます。
これだけは、もう一度書かせてください。
無理にとは言いません。
ただ、もう一度誰かと生きる未来を考えてみてもいいと思えたときは、一人で抱え込まず、まずは今のつらいお話を聞かせてください。
その大切な一歩を、カウンセラーである私がしっかりサポートします。
いつでもご相談に乗ります。





