学歴社会の日本にとって「大学を卒業しているかどうか」は、資格取得・就職活動の際の条件として常につきまといます。
最近では大学のあり方や必要性が問われるようになってきましたが、まだまだ学歴は大きな価値をもちます。
大学は誰にでも簡単に通える場所ではありません。
とくにひとり親家庭の子どもたちにとっては、かなり難しい選択となります。
今回はそんな「ひとり親家庭の大学進学」についてお話します。
ひとり親家庭の大学進学:考えておくべき4つのこと
ひとり親家庭の子どもが大学へ通う上で考えておきたいことを4つご紹介していきます。
一番はじめに考えておきたいのはやはりお金の問題ですが、お金以前に解決しておかなければならない問題や大学へ通う間にも向き合わなくてはならない問題もあります。
1つずつみていきましょう。
1.奨学金を借りている子どもたち、最も身近な学生支援機構の奨学金
ひとり親家庭の子どもたちが大学を通う上でまずクリアしなくてはならないのが、お金の問題です。
通う大学にもよりますが大学に通うには多額のお金が必要になります。
自分の家庭でまかなえないのであれば、選択肢として”奨学金”が挙がるでしょう。代表的なものでいうと「学生支援機構の奨学金」で、平成30年度時点では120万人を超える人達が借りています。
貸与割合でみてみると、平成28年度には大学・短大に通う2.6人に1人が借りており、ひとり親家庭に限らず多くの学生が借りていることがわかります。
学生支援機構の奨学金には大きく分けて2つのタイプが存在します。利息のない第一種奨学金、利息のつく第二種奨学金です。
借りることのできる金額は借りる年度・通う大学による違い(国公立・私立・短期大学・大学院等)がありますが、第一種奨学金であれば最高月額64,000円、第二種奨学金であれば120,000円ものお金を借りられます。※ あくまでも一例
学生支援機構の奨学金では多額のお金が借りられるため、ひとり親家庭の子どもたちにも大学進学を視野に入れやすくなります。
しかし、借りたものは返さなくてはなりません。第二種奨学金の場合だと利子もつきますし、「奨学金であって奨学金ではない=借金と同じ」であることを認識しておく必要があるでしょう。
2.返す目処が立つかどうか、生きていくにはたくさんのお金がかかる
ケースバイケースですが、借りた奨学金は数十年単位で返すことになります。
「自分の子どもが大学生になる頃にも、自分の奨学金を払っている」
こういうことも起こりえます。
奨学金の返還が始まるのは貸与が終了した月の翌月から7カ月目です。これを毎月・数十年かけて返すのです。
人間、生きていくにはたくさんのお金がかかります。
給料からは年金や保険料などが天引きされ、社会人2年目からは市民税も発生します。ここに奨学金が加わることを忘れてはいけません。
奨学金を返す金額の分だけ我慢しなくてはならない買い物、旅行、ローンなどがある事実から目をそらしてはいけません。
しかし、こうした事実を自分の身に起こることとして考えられる高校生はごく少数です。そして多くの若者が奨学金を返すことができず返還を滞納してしまう、行方をくらましてしまう、破産してしまうといった問題が起きているのです。
3.大学へ行くのはなぜ?周りを無視して考える時間をもとう
最近、大学のあり方や必要性が問われるようになってきました。
しかし、そうした動きはまだまだ小さく、資格取得や就職活動の現場では大学を卒業していることが最低条件とされることが多いです。
「自分はなぜ大学へ行くのか」
「大学へ行って何をしたいのか」
この大学へ行く理由・目的を考える時間を絶対にもってください。周りの友達や先生の意見、お金の問題なども一旦忘れてみて、まずは”自分本位”で考えてみましょう。
その後、その理由や目的をクリアするために本当に大学へいく必要があるのかどうか、通わなければどうなるのか、通うためにはどうしなければいけないのかなど、ひとつひとつの問題を分解して考えてみましょう。
「本当に自分がしたいことがわからない、それを探すために大学へいく」。
現代の多くの子どもたちから聞かれる考えですね。こうした考えに「考えが甘い」「お金がもったいない」という大人もいますが、したいことがわからない気持ちはよくわかります…。厳しい意見を投げかける大人たちもかつては、皆さん同様に悩みながら今を生きています。
大学生の間に自分がしたいことを見つけられる学生はほんの一部です。自分が将来やりたいことを意識的に探すこと、行動を起こさなくてはあっという間に就職活動が始まってしまいます。
4.周囲の温度差との戦い、家庭環境が恵まれている同級生もいる
ひとり親家庭の子どもたちは、こうした同級生たちとの温度差とも戦う必要があります。
「金銭的なハードルをなんとか奨学金で乗り越え、ある程度の目的意識をもって入学もした…」
そんなひとり親家庭の子どもたちの周りには、家庭環境に恵まれている同級生もいます。
「実家が裕福なことからバイトもしていない。サークルや飲み会に行ってばかりで、平気で単位を落とし留年もする…。」そんな同級生たちです。
自分とは違い金銭的に恵まれていることや、明らかに低い勉強への意識などを疎ましく思うこともあるでしょう。ときには激しい怒りを覚えることもあるでしょう。この現実に4年間向き合う必要があります。
彼らよりも高みを目指すのか、彼らと同じように怠惰な4年間を過ごしてしまうのか…。それは皆さん次第です。
大学に進学する必要があるかどうか!?真剣に考えよう!
以上のようにひとり親家庭にかぎらず、金銭的に余裕のない家庭では大学に進学するのがとても大変なんです。
特にひとり親の場合には苦しいでしょうし、本人も就職後に奨学金の返済などに苦しむ可能性があります。
でも、そもそもなんで大学に行くのでしょうか?
大学に行くこと自体に意味があるのでしょうか?
もちろん、大学に通うことは意味があります、学ぶべきことによっては大学を通過しなければ手に入らない知識もあります。
その反面、目指すべき仕事によっては、まったく大学に通う必要がないものもあるんです。
最後は大学に進学すべきかどうかについて解説していきます。
「なんとなく大学」では意味がない
まず最初に伝えたいのが、「なんとなく大学」は絶対に無駄!ということです。
就職するには有利、結婚にも有利、家を買うのも有利。
そんなの妄想です。
まずは、なんで大学に行きたいかを真剣に自問自答しましょう。
専門学校で十分な仕事もある
もし、あなたのなりたい職業が、以下のようなものだった場合には専門学校に行くべきです。
・美容師・ネイルサロン
・ファッション関係
・福祉・介護
・料理関係
・コンピューター関係
これって常識のようで違うんですよ。
実際に、大学に進学した後に、もう一度進路を変更して専門学校にいってから、美容師になった人、看護師になった人は、大勢います。
なぜか!?
簡単です。何も考えていなかったからです。
何も考えずに大学に進学するとこうなるのです。
もしくは、大学卒業後の就職に失敗し、他にやりたかったことを探して、専門学校っていうパターンもあります。
漠然とやりたいことを考えるのではなく、真剣にやりたいことをチェックしてみましょう。
例えば、コンピューター系においては色々なパターンを想定できます。
パソコンスキルを磨いて、WEBデザイナーなどを目指すのであれば、大学に進学する必要はありません。
むしろ、専門学校でスキルを磨く方がベストです。
そうではなく、WEBデザインなどを請け負う会社や、色々なWEBベンチャー企業を構築していきたいのであれば、大学に進学し、経営学などを学ぶのがいいかと思います。
このように、どんなジャンルか?ということよりは、どんな職業に就きたいかで、大学進学を考えましょう。
資格を取ってしまえば関係ない職種も
資格をとってしまえばよい職種もあるので、その場合には大学に進学する必要はありません!
実際に誰に聞いても、弁護士などは大学に進学したから、意味があったとは言えないと言っています。
ちなみに弁護士は大学に進学しなくても、予備試験を突破すれば普通に司法試験を受験でき合格することができます。
実際に何人もの人がその道で立派に弁護士としてがんばっています。
逆に医師や薬剤師のように専門の大学を卒業していないと、資格がない職種もあるので事前にチェックが必要です。
ただし、医師や薬剤師などのように大学の卒業が必要な資格は、大抵学費もバカ高い分野です。
何も考えずに「大学➡︎サラリーマン」の時代は終わった!
これだけは絶対にやめましょう!
もちろんサラリーマンを否定しているわけではありません。
でもやりたいことがないからサラリーマンは絶対にダメです。
よーく考えてみましょう!何かあるはずです。
もしもないなら、やりたくない仕事を消去していくことで、逆から何がやりたいかを探ってみるのも手です。
まとめ
ひとり親家庭の子どもたちにとって大学へ進学するかどうかは、両親のいる家庭の子どもたち以上に人生の大きな分岐点となります。
金銭的なハードルは、学生支援機構などの奨学金によって乗り越えることができます。
しかし奨学金は借金と同義に考える必要があり、多くの社会人が返還に苦しんでいる実情から目をそらしてはなりません。
借りる前に必ず返還のシミュレーションを行い、卒業後どういう風に自分のお金を使いたいのかを考えておきましょう。
大学へ進学する前には自身の目的意識をはっきりさせた上で、学生生活をおくる必要があります。
周囲には金銭的に余裕がある家庭から進学してくる子どもたちや、特に目的もなくなんとなく大学生になったという子どもたちもいます。
こうした周囲の温度差と戦う必要があることについてもよく考えましょう。
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