田舎暮らしを希望する婚活女性に伝える『厳しい現実』

田舎暮らしを希望する婚活女性に伝える『厳しい現実』

「北海道の農家に嫁ぎたい」と言う女性に、私が必ず返している言葉

北海道の農家に嫁いで、自給自足の暮らしがしたい

都会に疲れたから、田舎で結婚したい

結婚相談所の現場で、こうした言葉を聞かない月はありません。

その気持ちは、よく分かります。

ただ、私、岡田はその言葉を聞くたびに、少しだけ心配にもなるんです。

私自身、ジブリのようなのどかな田舎で生まれ、両親や祖父母が兼業農家として田畑仕事をする姿を日常で見て育ちました。

18歳で都会に出てから、周囲に「田舎っていいなぁ」と言われることが増えました。

でもそのたびに、少しだけ思うんです。

たぶんそれは、外から見た田舎の話なんだろうな、と。

地方出身者である私から見ると、憧れだけで進める田舎暮らし婚活は結構キツイ。

否定したいわけではありません。

断固たる決意があるなら、それは素敵な選択です。

ただ、なんとなくの憧れだけで地方在住者をターゲットに婚活すると、結婚してから「こんなはずじゃなかった」となる確率が高くなります。

この記事ではきれいごとを抜きにして、田舎暮らし婚活の生活の輪郭と、判断の材料を整理していきます。

「田舎で暮らしたい」と言う婚活女性に、私が毎回返している言葉

最近は田舎暮らし限定の婚活パーティーも増えていて、結婚相談所にも地方移住を希望される女性が少なくありません。

私のところにも、定期的にいらっしゃいます。

そういう方に、私が必ず返している言葉があります。

憧れを捨てなくていいですよ。ただ、生活として耐えられるかは、別の話ですよ

18歳で都会へ出てきたとき、周りには「田舎いいなぁ」と言う女性が多かったです。

でも、これは自然なことだと思います。

私が都会に憧れていたのと同じで、人は自分にないものに惹かれるものです。

だから、田舎暮らしへの憧れそのものを「ミーハーだ」と切り捨てるつもりはありません。

ただ、現場の温度として、地方出身者である私からすると、憧れだけで進める田舎暮らし婚活は結構キツイ。

これは現場で何人も見てきて、私の頭の中に残ってしまった本音です。

スローライフのいいところだけが切り取られていて、自給自足=働かなくていい、静か=時間の流れがゆっくり、というイメージを持っている方も少なくありません。

でも、実際はかなり違います。

両親が田畑から帰ってきて、「たまにはゆっくり休みたい」と漏らしていた背中を私は知っています。

だから、軽い気持ちで「田舎で結婚したい」と言われると、少し身構えてしまうのです。

では、何が想像と違うのか。

ここからひとつずつ見ていきます。

最初に崩れる幻想は「スローライフ」という言葉そのものです。

スローライフという言葉では語れない|農家に嫁いだ友人が漏らした一言

農家に嫁いだ友人が、ぽつりと言ったことがあります。

思っているより、田舎って忙しいんだな…

私はこの一言に、田舎暮らし婚活の現実がかなり詰まっていると思っています。

田舎暮らしを望む女性の多くが、「パートナーの家業も手伝います」とおっしゃいます。

農家、漁師、牧場。

自然を相手にする仕事は、勤務時間も気候も、こちらの都合で動いてくれません。

台風の前には夜中に田んぼを見にいくし、雪が降れば朝四時に起きてハウスの雪下ろしをする。

休日でも天気が崩れれば予定は飛びますし、家族の誰かが体調を崩せば、その負担は家全体に回ってきます。

重労働が、淡々と続いていくのです。

田舎暮らしは、ただ自然の中でゆっくり暮らすことではありません。

近所の人に顔を覚えられ、地域の行事があり、畑や家のこともあり、知らないうちに「地域の一員」として見られる。

そこに馴染める人には温かい場所ですが、ひとりの時間や距離感を大事にしたい人には、正直かなり重く感じると思います。

冒頭の彼女は都会育ちで、子どもが生まれてから少しだけ家業を手伝うようになりました。

電話越しのその声には、文句というより、戸惑いがありました。

スローライフという言葉を信じて入っていった先で、想像していた田舎像と、目の前で動き続ける家業のあいだに、ズレを感じてしまったのだと思います。

「自給自足=働かなくていい」ではなく、「自給自足=家族総出で働き続ける」「静か=時間の流れがゆっくり」ではなく、「静か=音の少ない場所で淡々と労働が続く」

そして、忙しさ以上に都会育ちの女性が戸惑うものが、もうひとつあります。

それは、人付き合いです。

田舎暮らし婚活で見落とされがちな、人付き合いと地域の「重さ」

「田舎の人は都会の人より親切」という話、よく耳にしますよね。

半分は本当です。

ただ、もう半分があります。

意外と、よそから来た人を警戒する高齢者も多いんです。

もちろん悪意があるとは限りません。

長く同じ地域で暮らしてきたからこその慎重さ、という面もあります。

ちなみに私の田舎では、青年団や氏神様の催し物で、地域の付き合いが盛んでした。

盆踊りの櫓の組み立て、しめ縄づくり、神社の掃除。

仕事終わりに集まって、年配の方の段取りに合わせて動きます。

これは私自身も子どものころから見てきた光景で、悪いものとは思っていません。

ただ、両親が「たまにはゆっくり休みたい」と漏らしていたのもまた事実で、幼心ながら「田舎も忙しいんだな」と感じたものです。

地域の付き合いが盛んということは、地域に時間を渡し続けるということでもあります。

幸いにも、私の田舎には難しい人が少なかったのですが、友達の地域では、少し厳しいおばあさんが地域を仕切っているという話も聞きます。

もちろん全部の田舎がそうではありません。

でも、地域によって人間関係の濃さや温度差があるのは事実です。

問題は、これらが「結婚してから知ることになる」点です。

お見合いや交際期間中に、嫁ぎ先の地域行事のリストや、隣近所の人柄まで把握できる人はまずいません。

婚活でまったく知らない地域へ嫁ぐとき、人付き合いだけは、入ってみないと分からない。

だからこそ、結婚相談所での地方婚活はデメリットも多いと感じているのです。

これは、結婚相談所の現場で何人もの相談を見てきた私の実感です。

では、そもそも地方で婚活すれば出会いは増えるのでしょうか?

ここにも誤解があります。

地方男性との結婚は「選択肢が広がる」のか|地方移住 婚活の実情

「できれば地方の男性と田舎暮らしがしたいです」とおっしゃる方に、私は必ず一度立ち止まります。

本当に、地方男性を希望されますか?

ロハス思考な婚活女性にそう尋ねるとき、私はその意思がどれだけ本気か確かめています。

あわせて田舎暮らしの結婚の厳しさ、婚活の厳しさもお伝えします。

これは決まり文句ではなく、その場その場で違う言葉を探しながら話します。

地方婚活で難しいのは、単に出会いの人数が少ないことだけではありません。

相談所の現場で見ていても、地方の結婚は「相手ひとり」との相性だけでは決まりません。

その土地で暮らせるか、家族との距離感を受け入れられるか、車中心の生活や地域行事を負担に感じすぎないか。

都会の婚活よりも、生活への適応力がかなり早い段階で問われます。

そして、母数が少ないぶん、「もっといい人がいるかも」で長く迷う余白が都会ほどありません。

だからこそ、条件の細かさより、生活が合うか、家族観が合うか、その土地で無理なく暮らせるかを早めに見たほうがいい。

ここは相談所の現場を見ていても強く感じます。

タイミングの問題も見落とせない

もうひとつ、タイミングの問題もあります。

「それなら移住してから婚活しよう」と考える方もいます。

けれど、田舎になればなるほど、結婚が早い地域は少なくありません。

地域によっては、30代で移住した時点で同世代の独身者がかなり少ない、ということもあります。

これは脅しではなく、私の田舎を見てきた率直な感覚です。

「地方に行けば選択肢が広がる」のではなく、「地方では別の競争が始まっている」と言ったほうが近い。

出会いの場をどこに置くかは、自分の年齢と、その土地の婚期と、両方を見て決めないと、空振りで時間だけが過ぎていきます。

そして、出会いの問題を越えても、その先の生活で待っているのは、また別の話です。

田舎に嫁ぐ前に知っておきたい|車・仕事・子育てのリアル

都会の感覚で「結婚後も今の働き方を続けながら、休日は自然の中でのんびり」と思っているなら、そこは一度立ち止まったほうがいいです。

田舎では車がないと生活が回らない地域も多く、仕事の選択肢も限られます。

少し強い言い方をすると、オシャレにOLをしながら、都会と同じ感覚で共働きする。そういう暮らしは、地域によっては夢のまた夢です。

もちろん場所によります。

でも、田舎暮らし婚活では「今の働き方をそのまま持ち込める」とは思わないほうがいいです。

ちなみに、私の田舎の就職先といえば、介護職・製造業がスタンダードでした。

漁業が盛んな地域、林業が盛んな地域と、土地柄で多少は変わりますが、職種の幅は決して広くありません。

私自身、都会に出るまで「OLって何をする人?」というレベルでしたから、誰かをバカにしているのではなく、田舎で育った私が肌で感じてきた事実を書いています。

さらに、都会以上に保育園も少ない地域があります。

共働きが当たり前になっている地域もあります。

ただ一方で、基本的に女性は家庭に入りますからね、という空気が、いまもうっすら残っている地域もあります。

共働きありき、保育園ありきで人生設計をしてきた女性ほど、ここで前提が崩れます。

老後の足の問題もあります。これは老後だけの話ではありません。

妊娠中、子育て中、体調を崩したときにも、車がない生活は一気に不便になります。

たびたび話題になる高齢者ドライバーの事故は、ほとんどのケースが車社会だからこそ起きています。

バスは1日数本、運転できなくなったあとの足は、家族か近所の方の好意頼みになります。

だから、地方男性と結婚を考えるなら、条件の前に生活を聞いたほうがいいです。

  • 車は一人一台必要なのか
  • 仕事はどの範囲で探せるのか
  • 子どもができたとき、保育園や親のサポートは現実的にあるのか
  • 老後、運転できなくなったあとの移動はどうするのか

好きかどうかだけでなく、「その土地で暮らせるか」を早めに確認してください。

そして、生活インフラ以上に効いてくるのが、人とのつながりの問題です。

ここからは、私の地元の話を書かせてください。

夫は好き、でも寂しい|田舎に嫁いだ女性が抱える孤独

地元の友達である男性が結婚しました。

上京した際に出会った、大学時代の同級生だそうです。

友達は、長男ということもあり、東京から田舎へUターンで就職。

彼女さんもついてきてくれて入籍したのですが、都会育ちの奥さんは嫁いだ先に友達がいません。

娯楽も都会と比べると少なくて、平日の昼間、家に一人でいる時間がとても長くなったそうです。

しばらくして、地元に帰ったときに彼から聞いた言葉が、いまでも頭に残っています。

この人と一緒なら、どこでもついていく!っていうくらい、夫のことが好き。その気持ちも変わらないけれど、やっぱり友達や知り合いがいなくて寂しい

奥さんが、彼にそう打ち明けたそうです。

夫が嫌いになったわけじゃない。

土地が嫌いになったわけでもない。

ただ、好きな人と一緒にいるのに、寂しい。

この矛盾は、好きな人と暮らせばすべてが満たされる、と思っていた人ほど苦しむ場所だと思います。

幸い、その後、奥さんは田舎で就職して、職場経由で知り合いができて、今では楽しく暮らしています。

だから「嫁いだら終わり」ではありません。

孤独を放置しないで、自分から動ける環境があれば、回復していくこともある。

ただ、私自身、両親や友達と離れて都会で暮らしてきた人間として、ひとつだけ言えることがあります。

ご両親や友達、知り合いと離れて暮らす寂しさは、測りきれませんよね。

逆方向、つまり都会から田舎へ嫁ぐ女性が背負うものも、たぶん同じ重さで存在しています。

愛と孤独は、別の問題として備えておかないといけません。

「好きな人と一緒だから寂しくない」ではなく、「好きな人と一緒でも寂しい日はある」という前提で、嫁ぎ先での友人関係や仕事を、結婚前から少しずつ準備しておく。

これだけで、ずいぶん違うはずです。

では、嫁ぐのではなく「二人で田舎へ移住する」なら、問題は減るのでしょうか?

ここも甘くありません。

移住婚はもっと厳しい|2度移住して2度東京に戻った夫婦の話

リモートワークがあって、地縁のしがらみがなくて、嫁としての役割もない。

一見、条件はそろっています。

例えば、パソコン1つあれば仕事ができる夫婦だったとします。

どちらも地元じゃないから、不必要な人間関係やイベントもない。

畑仕事もない。仕事もある。

それでも、田舎は容赦してくれません。

私の友人にも、移住した夫婦がいます。

今どうしているかというと、見事に東京にいます。

しかも、2度チャレンジして、2度東京に戻ってきています。

そして、もう行かないと言っています。

久しぶりに会ったとき、奥さんが笑いながら話してくれた内容を聞くと、いくつもの壁があったことが分かります。

  • ネットがものすごく遅くて仕事に響いた
  • 移住者には冷たくて挨拶しても返ってこない日が続き、人間関係で心が折れた
  • スーパーの種類と量が全然足りず、日常の買い物に不便を感じた

旦那さんも、いくつかのことを並べました。

台風で停電して道路も止まり、真冬だったら命に関わると思ったこと、休みの日に二人で何もすることがない日が増えたこと、友達ができないし気候も極端だったことです。

この夫婦は元々、結婚後、都会で数年暮らしてから、田舎に移住しました。

でも、その移住先には、旅行で数回行っただけだったんです。

「なんとなく良さそうだから」「自然が綺麗だったから」。

最初の動機を聞いたとき、責められないなと思いました。

私自身、上京前は田舎を出れば全部解決すると思っていた人間ですから、向きは逆でも、根っこは同じです。

あとから聞いた言葉が、いちばん印象に残っています。

旅行で行く田舎と、毎日住む田舎は全然違った

私は、田舎を怖がってほしいわけではありません。

でも、田舎を軽く見ないでほしい。

憧れだけで選ぶには、暮らしはあまりにも現実的です。

ここまで読んで、田舎結婚に向いている人と向いていない人の輪郭が、少し見えてきたと思います。

田舎暮らし婚活に向いている女性・向いていない女性

結婚相談所の裏側を知り、自身も田舎出身者である私が田舎結婚に向いていると思う女性は、スローライフに幻想を持たず、仕事を選びすぎず、目の前の役割に柔軟に向き合えて、知らない人と仲良くなるのが得意な人です。

家業を手伝うかもしれないし、地域行事もある、という前提で生活設計ができる。

介護でも製造でも、農繁期の手伝いでも、目の前にある仕事を引き受けられる。

嫁ぎ先で待っているのは、これまで会ったことのない年代と価値観の方々ですから、そこで臆さない人は、田舎での暮らしを自分の場所に変えていけます。

逆に、今の生活スタイルを大きく変えたくない人や、人付き合いに強いストレスを感じる人は、かなり慎重に考えたほうがいいと思います。

都会に飽きたから、とか、なんとなく田舎がいい、という動機だけでは、生活のほうが先に音をあげます。

ただ、ここで注意してほしいのは、向いていない=諦めろ、ではないという点です。

この記事は、田舎暮らしを否定するために書いているわけではありません。

向いていないなら、準備の仕方を変えればいい。

動機を見直して、嫁ぐ前にできる確認を増やせばいい。

「自分はどっちなんだろう」という問いを持てた時点で、半分は前進しています。

向き不向きが見えても、いきなり嫁ぐ・いきなり移住するのは、別問題です。

いきなり嫁がない・いきなり移住しないという選択

もし、どうしても田舎で暮らしたいのであれば、1ヶ月、可能なら半年くらい住んでみてはいかがでしょうか。

それぐらい住めば、生活していけるかどうかはかなり判断できると思います。

短期間住んでみて、もし問題が出るようなら、そのときはその時点でいったん立ち止まったほうがいい。

現実的な選択肢として考えたいのが、都会と田舎を行ったり来たりする形です。

どちらにも家を持っていないと成立しないので、贅沢な響きはありますが、田舎側の家を民泊や短期賃貸、マンスリー物件などでまかなうと、ぐっと現実的になります。

週末だけ田舎で過ごす、繁忙期だけ田舎に滞在する。

こういう運用なら、いきなり移住する前のテストとして機能します。

その上で、現代の感覚として付け加えたいことがあります。

できれば、仕事は完全に辞めないでください。リモートでもパートでも、何かしら自分の収入経路を残しておくと、嫁ぎ先で「自分の世界がない」と詰まる時間を防げます。住まいも、可能ならすぐには手放さないでください。賃貸ならしばらく契約を残す、持ち家なら売り急がない。戻れる場所がある、という事実そのものが、新しい土地で踏ん張る余白になります。

田舎に行くか、行かないか、ではなく、いつでも戻れる状態で行く、という選択。

これは退却ではなく、長く田舎暮らしを続けるための準備です。

ここまで読んで残るのは、田舎か都会か、ではない、もっと根本的な問いです。

まとめ|田舎暮らし婚活は「憧れ」ではなく「生活」で選ぶ

私自身、田舎にいると都会に憧れ、都会にいると田舎を恋しく思います。

人間は誰しもないものねだりだなと、自分のことながら思います。

でも結局、田舎のよさは「何でもあること」ではなく、

「ものがないからこそのよさ」

なんです。

ものが有り余っていて、足りているよさとは、また違う感覚です。

不便も、人付き合いも、地域の近さも含めて受け入れられるか。

田舎暮らし婚活を考えるなら、まずそこを自分に問いかけてみてください。

憧れを抱えたまま、冷静に判断していい。

むしろ、憧れを持っている人にこそ、生活の輪郭まで見てから決めてほしいと、私は現場でずっと思ってきました。

まずは、相手の条件を見る前に、その土地での平日、休日、仕事、人付き合いを具体的に聞いてみてください。

田舎暮らし婚活は、好きな人を選ぶだけでなく、その人が暮らしている生活ごと選べるかどうかを見ていくものです。

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