『理想の愛=結婚』ではない婚活の厳しい現実

『理想の愛=結婚』ではない婚活の厳しい現実

婚活の厳しい現実は「相手がいないこと」じゃない

「おめでとう!」と書き終えた招待状の返信に切手を貼りながら、ふとあなたは自分の左手を見る。

あの指に、まだ何もない。

嬉しいはずなのに、なんで胸の奥がざわつくんだろう?

ぼちぼち婚活を始めてみたけれど、会う人会う人「なんか違う」。

プロフィールも整えた、メッセージも返している、それなのにいまいちピンと来ない毎日に不安を抱えていませんか?

──これ、努力不足ですか?それとも、私のどこかが壊れているんでしょうか?

違います。

たぶん、どちらでもない。

世の中の婚活記事は、だいたい同じ話をします。

年齢、市場価値、成婚率、ライバルの数。

数字とグラフで「あなたは厳しい立場にいる」と告げて、だから早く動けと急かす。

それも一面では正しい。

でも、それが本当に厳しいことかというと、私はそうは思わないんです。

なぜなら、婚活をしている人、結婚に焦っている人の中には「そもそも結婚願望がなかった」という方もいらっしゃるからです。

これ、相談所をやっていると本当に出会うんです。

条件をスラスラ語れる方がいる。

年収はこれくらい、年齢はこのへん、住んでいる場所はこのエリア。

完璧なリストを持っている。

で、その人と何をしたいですか?

と聞いた途端、言葉が止まる。

別に意地悪で聞いているわけじゃありません。

ただ、リストの先にあるはずの「自分の生活」が、なぜかぼんやりしている方がいるんです。

条件は鮮明なのに、その人と過ごす朝が思い浮かばない。

人はときとして、自分の気持ちに気づけなくなる瞬間があります。

これは誰にでも起こりうること。

しかし、気持ちに気づかず違和感を抱いたまま生きていくのは、息苦しいですよね。

婚活の本当の厳しさは、「相手がいない」じゃなく、「結婚したい理由が、自分のものじゃない」ことのほうにあります。

相手は探せば現れる可能性があるけれど、自分の本心は誰も代わりに探してくれません。

その焦り、本当にあなたの本心ですか?──根拠なき「だから」の正体

  • 「女だから、そろそろ」
  • 「長女だから、親に孫を見せないと」
  • 「年齢的に、もう待てない」

口では「そんな古い考え方しないよ」と笑い飛ばしているのに、夜ふと一人になったとき、心の奥でうっすら鳴っている声。

これを私は

「根拠なき『だから』」

と呼んでいます。

正直に告白すると、私もときどき、この『だから』に支配されることがあるんです。

プロとして人の本心を見つめる仕事をしていても、自分の中に染みついた刷り込みは、完全には抜けない。

潜在意識の奥でくすぶっている。

だからこそ、これは意志が弱いとか、考えが浅いとかいう話じゃない、と断言できます。

厄介なのは、これが「自分の願望」と区別がつかないこと。

「結婚したい」という気持ちが湧いたとき、心の底から湧いた泉なのか、外から流し込まれた水道水なのか、湧き出してきた瞬間の自分には判別がつかない。

同じ蛇口から出てくるように感じる。

「年齢的に」と思った瞬間──誰の声でそう思いましたか?親?親戚?SNSの誰か?それとも本当に自分の声?

分解すると、案外、自分の声じゃない部分が混ざっていたりする。

それに気づくだけで、焦りの体感温度が少し下がります。

「結婚すれば幸せ」の落とし穴|目的と手段を間違えていませんか

最初に立場を明確にしておきます。

「幸せになりたい、結婚したい」それがあなたが本心で望んでいることなら、私たち結婚相談所はその気持ちを全力でサポートします。

これが大前提です。

そのうえで、現場で繰り返し見てきたパターンを一つだけお伝えしたい。

結婚したことが『しあわせ』に直結するわけではありません。

危険なのは、こういうケースです。

  • 「安定した生活をしたいから結婚したい」
  • 「お金持ちになりたいから結婚したい」

目的と手段を間違えているケースです。

結婚はお金持ちになる手段でもなければ、安定を保証する手段でもありません。

手段として結婚した場合、結婚後にその手段が機能しなかったとき、逃げ場がなくなる。

安定が欲しくて結婚したのに、相手の会社が傾いた。

お金持ちになりたくて結婚したのに、支出のほうが増えた。

そのとき、人は相手を恨み始めます。「あなたのために結婚したのに」と。

『理想の愛=結婚』ではない。婚活相談所が言うのもおかしな話ですが

愛する人と結婚をして夫婦になり、家庭を持つ。

これが理想の愛のカタチとは限りません。

でも、現場にいると言わざるを得ない瞬間があるんです。

これは想像で書いているんじゃありません。

実際に、相談の場で聞いてきた話です。

好きになった相手が、たまたま同性だったり。

入籍はしていないけれど、一緒に住んでいる事実婚カップルだったり。

スープが冷めない距離で暮らしていたり。

恋人というかソウルメイト? って感じの人がいたり。

ある方は

「スープが冷めない距離」が心地いい

と言っていました。同じ屋根の下じゃなくて、徒歩数分。

会いたいときに会えて、一人になりたいときに帰れる。

その人にとっては、それが一番しっくりくる関係だった。

こういう方々が一番苦しんでいるのは、相手との関係そのものじゃなく、「世間の物差しに自分の関係を当てはめられない」ことのほうだったりする。

これって、ピーマンが好きか、パプリカが好きか程度の違いなのです。

あなたは今まで「当たり前」と言われてきたテンプレートに、無理に飛び込まなくてもいいんです。

  • 「まだ結婚していないの?」
  • 「結婚しないとかかわいそう・・・」

心ない言葉を浴びせる人もいるでしょう。

職場の先輩に飲み会で言われる。親戚の集まりで叔母さんに聞かれる。

久しぶりに会った友人に憐れまれる。

──あの瞬間の、笑顔を作りながら頬の内側を噛んでいる感覚を、私は何度も相談者から聞いてきました。

しかし、それはその人と幸せの価値観が違うだけの話。

ピーマン派とパプリカ派が出会っただけ。

それ以上でもそれ以下でもないんです。

あなたの理想と誰かの理想は違う。

考え方も生き方も違う。

この違いを受け入れ、認めることこそ、あなたが

生きやすい毎日

を手に入れるために必要なポイントなのです。

「結婚するかどうか」より、「自分が息をしやすい形はどれか」。

問いをそちらに置き換えるだけで、見える景色が変わります。

理想を捨てるな。代わりに自分の主導権を取り戻せ

ここまで読んで「じゃあ条件を下げろってこと?」と思った方がいるかもしれません。

違います。

理想は捨てなくていい。捨てるべきは、理想の置き場所のほうです。

少し前の「民間給与実態統計調査」によると、年収1000万円以上の人の割合は

4.49%

だということがわかっています。

数年前のデータですが、この傾向は今もそう大きくは変わっていません。

婚活市場に絞るとさらに少ない。

男女・既婚未婚を分けて未婚異性の母集団に絞り込めば、出会える可能性のある相手は本当にごくわずかです。

要するに、世間が思っているほど高年収の未婚異性は少ないのです。

ここで多くの婚活アドバイスは「だから条件を下げましょう」と、諦めの方向に持っていきます。

でも私は、逆をお勧めしたい。

ち・な・み・に!!

となると・・・結婚相手に求める年収を下げて、その分、私が年収を上げよう!

という考え方が理にかなっているのです。これは精神論じゃありません。

これが再現性のあるやり方です。

なぜ「再現性」と呼ぶのか?

相手探しは運の要素が大きい。出会いはコントロールできない。

でも、自分の収入を少しずつ上げていく動きは、努力の方向と結果がそれなりに対応します。

  • 資格を取る
  • 職場で昇給を狙う
  • 副業を始める
  • 転職する

やったぶん、戻ってくる確率が高い。

しかも、自分が稼げる人間になっておくと、結婚そのものへの依存度が下がる。

「この人と結婚しないと生活が立ちゆかない」じゃなく、「この人と一緒にいたいから一緒にいる」になる。

動機が手段から目的に戻る。

婚活市場で出会える相手の幅も、結果的に広がります。

理想を下げるんじゃない。

理想を支える土台を、自分の側に作る。

これが、主導権の取り戻し方です。

「なんとなく結婚したい」を分解する|進む人・止まる人の境界線

ここまで来てもまだ「で、私は結局どうすればいいの?」とモヤモヤしている方へ。

最後に、判断の補助線を一本だけ引きます。

「なんとなく結婚したい」──この「なんとなく」を、よく見つめてみる。

「なんとなく」の中身が、「周りの人間が結婚しちゃったから」、「年齢がそろそろだから」。こんな場合は、結婚する必要はないはずですよね。

「なんとなく」の中身が、「相手のことが好きだけど、相手も好きかどうか分からない」、「結婚してもお金の心配が」。この場合には、十分結婚に値すると思います。あとは、気になる部分である「相手の気持ち」や「お金のこと」などを解決していくだけ。

線引きはシンプルです。

「なんとなく」の主語が他人なら、止まっていい。「なんとなく」の主語が自分なら、進む価値がある。

だから、まず一度だけ自分に問いかけてみてください。

「今の私の『結婚したい』は、誰が言わせている言葉だろう?」と。

自問自答は、あなたの

心のコンパス

を正しい方向へ導いてくれるきっかけです。

心のコンパスが自分側を向いているか、他人側を向いているか。

それを見るだけでいい。

慌ただしい現代社会だからこそ、自分の気持ちに耳を傾ける時間はなかなか取れないもの。

だからこそ、立ち止まる時間を意図的に作る価値があります。

そして、心許せるパートナーと一緒に支え合える関係になりたい!

と思っているあなたは

セーフ(笑)

冗談はさておき、ここだけは真剣に伝えさせてください。

大事なのは、本当に結婚したいかどうかです。

これが答えです。短いけれど、本当にこれだけ。

冷静に、ゆっくりと、時間をかけてもいいから、自分の気持ちを読み解きましょう。

明日までに決めなくていい。来月までに動かなくていい。

婚活のスピード感に飲まれそうになったら、一回パソコンを閉じて、お茶を淹れてください。

決断は、湯気が落ち着いてからでいいんです。

まとめ|婚活が厳しいと感じる今こそ、立ち止まっていい

結婚相談所が「立ち止まれ」と言うのは、確かに変です。

商売としては、走ってもらったほうが都合がいい。

それでも言います。

結婚しなければいけないという焦りを感じているときこそ、少し立ち止まってみてください。

大切なのは、『何を求めているか』を知ったあと、それを実現させるためにはどうすればいいのかを、具体的に考えて行動することです。

立ち止まった結果、「やっぱり結婚したい」と思えたなら、そのときは全力でお手伝いします。

立ち止まった結果、「私は別の形でいい」と思えたなら、それもまた、あなたが手に入れた答えです。

進む選択も、止まる選択も、どちらもあなたのもの。

誰かに急かされて出した答えじゃなく、自分の心のコンパスから立ち上げた答えなら、どちらに転んでも後悔は少ないはずです。

あの招待状に切手を貼った夜、左手を見てざわついたあなたへ。

その指に何を選ぶかは、世間でも、親でも、年齢でもなく、あなたが決めていい。

まずは今夜、お茶を一杯淹れて、自分の声だけに耳を澄ませる時間を作ってみてください。

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