子どもが欲しいと親にせがまれた40代男性の話

子どもが欲しいと親にせがまれた40代男性の話

46歳、年収600万、貯金2000万。プロポーズ直前で別れた男性の話

私がサポートしていた男性の年齢は46歳。

身長172センチ、体重70キロ、大阪市に住む中肉中背の会社員Aさん。

年収は600万円。

そして貯金がなんと2000万円!!

初婚で両親は健在。

二人兄弟の弟で、両親と兄が同居しているので両親の扶養義務なし。

ね、条件だけ見たら、結構いいじゃないですか?

ただ、この条件の良さが、あとから彼を迷わせることにもなりました。

明るい性格で、真面目。

ただ、少し難があるとすれば、優柔不断なところでした。

ここが後から、じんわり効いてくる。

スペックだけ見れば婚活市場の勝ち組だったAさんが、プロポーズ直前で42歳の彼女に「別れたい」と告げた。理由は、親の一言だった。

ここから先は、担当カウンセラーとして私、岡田がすぐそばで見てきた話を、私の目線で書いていきます。

貯金2000万・年収600万の46歳男性が、42歳女性と真剣交際に入るまで

結婚相談所に登録して半年間活動したのですが、それまでの自分の女性経験と比べて、

初めてのモテ期が来た

のです。

Aさんにとって、これは人生で初めての経験でした。

毎週新しい女性と出会えるものだから、しょっちゅうお見合いをして、

婚活自体が楽しくなってしまうパターンになってしまった!

ここね、Aさんも実は一度、危ない入り口に立っていたんです。

申し込みが山ほど来て、30代の女性ともどんどん会えて、向こうから「会いたい」と言ってもらえる。

婚活の現場では、男性がこういう状態になると、

もっと若い、もっとキレイ、もっと優しい

と、最初に会った相手より上を、上をと目が動いていくことがあります。

最初から比べて徐々に理想が高くなっていく男性は、本当に気を付けないといけません。

気づかないうちに「欲求果てしない男」になってしまうからです。

自分ってモテるんだ~

と勘違いする男性に変わっていくのも、だいたいこのタイミングです。

Aさんの偉かったのは、ここで暴走しなかったこと。

申し込みの基準も、断る基準も、最初からブレませんでした。

しっくりくる相手がいなかったから

というだけで、何度か交際になっては終了を繰り返しながら、半年が過ぎました。

ちょうど半年が過ぎたころ、

42歳の女性Bさんとのお付き合いが始まったんです!

それまでAさんが付き合った女性の中でも、年齢層が高い方の相手でした。

30代の女性とどんどん会っていた中で、42歳女性の方からお見合いを申し込まれての交際。

ここ、大事なところです。

モテ期の真っ只中で、Aさんは年下ではなく、向こうから申し込んでくれた年上の女性を選んで、そこに落ち着いた。

Aさんは、すぐにBさんを気に入って、真剣交際になりました。

めっちゃくちゃ話が合う! 彼女は前向きで明るくて、一緒にいていつも笑ってられます!

もうね、べた褒めでした。

2ヶ月ほど交際して、Aさんは

結婚したいと思っている

と教えてくれました。

嬉しかったですね、あのときは。

こうなると、私たちカウンセラーは相手の相談所に連絡をします。

彼女はどう思っているんでしょうか?

と相手相談所に聞いて、感触を確かめるんです!

今回に限っては、私もよく知っている相談所だったので、詳しく話を聞いたら、

彼女も乗り気だって言ってます!

って!

これはいいぞ、いよいよ成婚が見えてきた。そんな空気でした。

そろそろプロポーズしましょうか

――そんな相談をしていた、まさにその日でした。

彼は急に、別れたいと言い出したのです。

「子どもを産んでほしい」と親に迫られた40代男性の本音

彼女との交際を終了したい!

えっっ??

いや、どういうこと? なんでそうなるの?

プロポーズの相談をしていたでしょう、ついさっきまで。

彼は苦しそうに、こう話し始めました。

両親に、必ず子供を産んでほしいとお願いされたんです。最初はそこまでじゃなかったのに彼女の年齢を知ってから、かなりきつく言われるようになって・・・

そうか。

でも、彼女は42歳でしょう。

出産の可能性がゼロだと決めつける話ではないですよね、と私は言いました。

すると、Aさんはこう続けました。

はい、でも色々と調べたら相当難しいことが分かるし。今なら30代の女性と結婚も可能なので、僕もそこまでお願いしてくる両親に孫の顔を見せてあげたいなという気持ちもあります。

お兄さんの家にも子供がいなくて、親戚みんなからお願いされたそうです。

本当に、苦しそうに話すんです。

切ない状況だな、と、そのとき私は思いました。

正直に書くと、私はこのときAさんを責められませんでした。

親の顔を何度も思い浮かべたのだと思います。

兄夫婦に子どもがいないという現実、親戚が集まるたびに向けられる視線、

うちの家系、このまま途切れるのか

という空気。

親はたぶん、Bさんという個人が嫌いなのではありません。孫の顔を見られないまま年を取ることが怖かったのでしょう。そこを、Aさんは全部背負ってしまった。

Aさんの側でいうと、背負ったのは「親の願い」だけではありませんでした。

「自分が親に孫を見せてあげたい」という、親の願いを自分の願いにすり替えたものまで、同じ袋に入れてしまった。

彼女と結婚したい気持ち

だけ、その袋に入れ損ねたのです。

もちろん、だからといってBさんが傷つかないわけではありません。

ここは、きれいごとでは済まない。

彼は本当に彼女のことが好きだったんですけどね。だからこそ厄介でした。嫌いになったわけではない。むしろ好きなまま、彼は別れを選ぼうとしていたのです。

それでも、いろいろ悩んだ挙句に、彼女との交際を終了することにしました。

結局、Aさんは彼女と別れた。

――ここで話が終わっていれば、ただの悲しい話です。

でも、別れ方ひとつで、人生は変わります。

「紙一枚」で別れなかったAさん|カウンセラーが半ば強制した一つのこと

交際を終了する、と彼が決めたとき、私はいつもと少し違う態度を取りました。

ここはね、あなたの正直な気持ちと事情を誠実に、とにかく誠実に伝えないといけないよ。

と、半ば強制的にお願いしたのです。

いつもは

やった方がいいよ

という感じなのですが、デリケートな話でもありますし、何より、一度お互いにすごく好きになった相手でしょう!

カウンセラー経由で

終了でお願いします

の一言で終わらせていい相手ではありませんでした。

ここで、少しだけ業界の話をさせてください。

結婚相談所では、交際が始まったあとに一方が別れを決めたら、自分のカウンセラー経由で相手側に伝わる仕組みになっています。

決まりとして、

二度と相手と連絡をとってはいけない

。理由を告げる義務もありません。

便利といえば便利です。

助かった

と言う会員さんも、正直います。

ただ――自分で置き換えてみてください。

運命の人に会えた

と思って、

そろそろプロポーズされるかも

と思っている時に、本人からではなくカウンセラー経由で、理由もなく

交際終了です

と伝えられる。そんなの、上手に心の処理ができますか?

少なくとも私は、簡単にできることではないと思います。

私が担当してきた会員さんも、この形で傷付いた人を何人も見てきました。

突然の別れは、まあ仕方ありません。

人の気持ちですから、変わることもあります。

でも、

別れの理由を聞くことができないというのは、これは本当に一生の傷になることがある

ずっと喉の奥に何かが引っ掛かっているみたいに、理由のわからない痛みだけが残るのです。

Aさんが、もし私に黙って、

カウンセラー経由で終了にしてください

で済ませていたら――Bさんには、たぶん一生、何も届かなかった。

なぜ別れるのか、どれだけ葛藤したのか、本当は好きだったのか。

全部、紙一枚の向こうに封じ込められたはずです。

だから、私はAさんと話し合いました。

  • 親からこういう話が出ていること。
  • 自分は孫の顔を見せたいと思ってしまったこと。
  • あなたを軽く見ているわけじゃ絶対にないこと。

冷たい紙一枚の「交際終了」ではなく、Aさんの口から、一つずつ、彼女に届く言葉として整えていきました。

ドラマみたいな別れの場面ではありません。

実務として、一緒に言葉を作っていった。

ただそれだけです。

でも、その“ただそれだけ”が、あとで大きな意味を持つことになりました。

私は会員さんにはいつもこう言います。

「相談所のルールでは直接言う必要ないんだけども、人として大人として、一度結婚を前提に向き合った相手には、自分の口から理由を説明した方がいいと思うよ!」

Aさんは、ちゃんとそうしました。

そして――彼は彼女に別れを告げ、交際は終了になりました。

残念です。でも、ここで終わりではありませんでした。

誠実に別れたことが、後になって静かに効いてくるのです。

親と向き合い直した3ヶ月|40代男性が選び直した答え

別れたからといって、Aさんの迷いがすぐ消えたわけではありません。

それでも、Aさんは改めて婚活を再開しました。

相手の相談所に聞くと、お相手の彼女は、最初はずい分悲しんだけれど、頑張っていますと言っていました。

46歳のAさんは、30代の女性と何人も何人もお見合いをして、複数人とお付き合いができました。

子供が欲しいと思っている女性と結婚するつもりで、ちゃんと頑張っていました。

親の願いに応える道を選ぶなら、そうするしかないと考えていたのでしょう。

もともとたくさん申し込みが来る男性でしたし、変わらず良い婚活ができていました。

それから3ヶ月ほどして、Aさんから話がありました。

家族や親戚とも話し合って、

子供を産むための結婚はしない

と、かなり必死に説得して、了承してもらったそうです。

ここは、書いておかないといけません。

ここで簡単に

よかったね

とは言えませんでした。

私はこのとき、彼を厳しく注意もしました。

3ヶ月前に、親のためにって、あれだけ好きだった人と別れたんでしょう。今さら覆すなら、その責任は全部自分で背負いなさい

と。

都合よく親のせいにして、都合よく考えを変えれば済む、という話では絶対にありません。

3ヶ月の間にAさんがやったのは、30代の女性と会いながら、袋の中身をひとつずつ並べ直す作業だったと思います。

  • 「親の願い」
  • 「親の願いを叶えてあげたい自分の気持ち」
  • 「自分が本当に一緒にいたい相手」

別れる前は全部ひとまとめだったものを、別々の棚に置き直した。

そのうえで、親と、親戚と、正面から向き合った。

親の期待を否定するのではなく、自分の結婚は自分で決めると、何度も言葉にして伝えたのだと思います。

孫の顔は、自分と、自分が選んだ人で考える

という線を、自分で引き直してきたのでしょう。

だから、ようやく、動きました。

相手相談所に連絡して、彼女にAさんの思いを伝えてもらいました。

正直、断られても仕方ないと思っていました。

彼女の返事は――

はい、一度会ってみます。

正直、このときはホッとしました。

もちろん、Bさんが傷ついた時間まで消えるわけではありません。

それでも、Aさんの3ヶ月は無駄ではなかったんだなって、そう思いました。

相手相談所経由で聞いた話では、彼女もあれから、ずっとAさんのことが忘れられなかったみたいです。

あくまでカウンセラー越しの伝聞ですが、そう言っていたそうです。

ただ、ここは正直に書いておきます。3ヶ月ぶりに会うというのは、そう簡単な話ではありません。

彼女の側からすれば、一度

親の事情で別れたい

と言ってきた相手が、今度は

親を説得したので戻ってほしい

と言ってきているわけです。

都合がいい、と思われても仕方ない話でもありました。

それでも彼女が会うと決めてくれたのは、別れるときにAさんが紙一枚で済ませず、自分の口で、不器用でも全部話していたからだと私は思っています。

「この人は、あのときも逃げなかった」という記憶が、たぶん彼女の側にも残っていた。別れたことそのものは、彼女を傷つけた。でも、別れ方で逃げなかった。その差は、あとで本当に大きいのです。

再会してからは、すんなりと結婚まで進みました

正直、この「すんなり」は、前半の3ヶ月と、別れ方のときの誠実さが、全部効いた結果だと思います。

先に書いておきますが、こういう再接続は、珍しいのです。

Bさんのように素敵な女性は、あとでもう一度会いたいと後悔しても、たいていは他の人との話が進んでいて、無理なことが多い。

Aさんは本当に、運もありました。

でも、その運を受け取れるだけの誠実さを、別れ際に残していたのだと思います。

親のプレッシャーで婚活を壊さないために、40代男性が手放してはいけないもの

親の願いを大切にすることと、自分の人生を差し出すことは違います。Aさんの話でいちばん伝えたいのは、「親の願い」と「自分がもう一度好きになった人」は、別々に向き合わないといけないということです。混ぜてしまうと、いちばん大切な人の顔が見えなくなります。

具体的にいうと、こういう分け方です。

もし今、親の言葉や周囲の期待で迷っているなら、まずこの三つを紙に分けて書いてみてください。

  • 親の願い:孫の顔を見たい、家を絶やしたくない、老後に子どもがいてほしい
  • 親の願いを引き受けようとする自分の気持ち:親孝行したい、期待に応えたい、家族としての責任を果たしたい
  • 自分自身の気持ち:この人と、これからの人生を一緒に過ごしたいのかどうか

Aさんが最初に別れを決めたとき、上の二つだけで三つ目を塗り潰してしまっていました。3ヶ月かけてAさんがやったのは、この三つをちゃんと別々の棚に戻す作業です。そのうえで、親と向き合い直して、別れ方のときも自分の口で誠実に伝えていた。だからこそ、扉がもう一度開いたのです。

出会い方より、別れ方にその人の人間性が出る。

やっぱり、出会うときも、別れるときも、どんなときも、

きちんと誠実に向き合っておかないといけないのです!

今も二人は夫婦として、淡々と仲良くやっていると聞いています。

派手な成功談ではなくて、Aさんが自分の人生を自分で引き受け直した結果、一度切れた線がもう一度つながった、ただそれだけの話です。

だから、親の声が大きく聞こえるときほど、自分の心の声を小さく扱わないでほしいのです。

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