カツラなのがバレて婚約破棄に?~AGA治療
プロポーズ目前、「実は僕、カツラなんです」――42歳男性の告白
真剣交際3ヶ月目。
プロポーズを目前に控えた42歳の男性会員が、震える声で私に言った。

岡田さん……実は僕、カツラなんです
彼のスペックだけ見れば、婚活市場では申し分ない男性だった。
42歳、会社員、年収700万円、初婚。
見た目は普通で、少し奥手で真面目な感じ。
この条件の男性なら、引く手あまたで充実した婚活ができる。
書き方次第では、一週間で百人以上の女性から申し込みが来てもおかしくない。
彼に女性の希望を聞くと、こう言っていた。
10歳下から自分の年ぐらいまでなら大丈夫
子供については、こうだった。
出来てもいいし、できなくてもいいです。だって30代後半の女性だと難しいでしょう
この答えを聞いたとき、私はこの人はいけると思った。
たとえば5歳年下の37歳の女性と付き合ったとして、結婚する頃には38歳か39歳。
妊娠・出産が40歳前後になるから、絶対に子供ができるとは限らない。
ここを理解してくれる男性だったら最高だ。
これは、私がカウンセラーとして最後までサポートした、ある男性の実話である。
予想通り、申し込みがたくさんきた。
3人の女性と仮交際したあとに、4人目の女性と真剣交際に移った。
彼から申し込んだ34歳の女性で、彼にとって「どタイプ」だったという。
順風満帆に見えた婚活。だが、彼にはたった一つの問題点があった。
それがカツラだった。
問題は薄毛そのものではなかった。
婚活現場で本当に破談の火種になるのは、別のことだ。
婚活でカツラが破談になるのは、薄毛ではなく「隠していたこと」
先に、いちばん大事なことを言っておく。
婚活でカツラが破談を招くのは、薄毛そのものではない。

「隠していた」という事実のほうだ。
ここを多くの人が誤解している。
たとえばこの彼。
最初のカウンセリングでは「32歳から42歳まで大丈夫」と言っていた。
でも、これは建前のことが多い。
初対面のカウンセリングのときに、自分の本当の希望を言えない人はたくさんいる。
でも、この彼はきっちり5歳下ぐらいの女性を狙っていた。
言葉と行動が一致する、正直な人だった。
正直な人だったからこそ、カツラを隠していることが彼自身の重荷になっていたのだろう。
私はと言えば、実はとっくに気づいていた。
最初は気づかなかったが、何回か会ううちに「たぶんそうだろうな」というのはわかっていた。
長年カウンセラーをやっていると、そういうのは見えてくる。
でも、それは知らないフリをする。こちらから指摘することではない。
婚活の現場で破談になるケースを数多く見てきて、一つはっきり言えることがある。
薄毛やカツラそのものが原因で破談になることは、実はそう多くない。
問題になるのは「隠されていた」という事実のほうだ。
交際が深まってから「実は……」と言われたとき、相手の女性が傷つくのは、髪がないことではなく、信じていた人に隠しごとをされていたという裏切り感のほうなのだ。
では、この男性はいつ、どうやって彼女に打ち明けたのか?
カツラをいつ言うべきか?婚約破棄を避けたカミングアウトの実際
真剣交際に進んで、そろそろ3ヶ月。
プロポーズをするかどうかという時期に、彼から相談があると言われた。

今お付き合いしている女性がいい
デートの時の写真を見せてくれた。
美人だった。
最初から彼女の顔写真は知っていたが、プロフィール写真よりも素敵だった。
少し気の強めの女性だが、とてもしっかりしていて、すごく自分のタイプなのだという。
彼は彼女が「大好きだ」と言うし、向こうも「たぶん好きだと思ってくれている」と言っていた。
何も問題がない。
私はこう伝えた。
何も迷うことなんかない。GO!
相手の相談所は放任タイプで、「もう大人なので任せています」とのことだった。
そこで、こちら主導で進めていこうと判断した。
ところが数日後、彼からまた「相談がある」と会いに来た。
そこで出たのが、冒頭のあの告白だ。
岡田さん、実は僕、カツラなんです
結婚相談所の男性会員で、カツラを隠している人は、たまにいる。
珍しい話ではない。
私は彼にこう話した。
だいたいの女性はわかってくれます
もしかして、もう彼女も気づいているかもしれないよ
ただ、正直に言えば、実際の婚活では「ぜったいムリです」という女性もいる。
いないわけではない。
だが、そのことは彼には言わなかった。
ここで不安を煽るより、背中を押すことを選んだ。
たいてい大丈夫だよ
だって、ここは行くしかないのだ。
真剣交際3ヶ月、双方の好意は確認できている。
ここで立ち止まっても何も変わらない。
そう言って、私は彼を送り出した。
祈るような気持ちだったと思う。
彼にとっては、カツラを外すことより心を裸にすることのほうが、よほど怖かったはずだ。
彼から、次のデートをした翌日に電話がかかってきた。
成功した。彼女は受け入れてくれたのだ。
告白は成功した。だが、ここで新たな選択が彼の前に現れた。
AGA治療か、カツラのままか――彼女が「反対」した理由
彼女と二人で、私のところに来た。
彼がカツラを外した姿を、私はそこで初めて見た。

頭のてっぺんが薄くて、ヒヨコみたいな感じ。
でも、思っていたよりハゲてはいなくて、うぶ毛みたいなのがちゃんとある。
正直、「ぜんぜん大丈夫ですよ、このくらい」と思った。
私は一つ提案をしてみた。
ペタッと頭に貼るタイプのカツラなら、バレにくいのではないかと。
しかし彼はそれも経験済みだった。
貼るタイプは完璧に密着させるため、毛根が完全に死んでしまうという。
それならもうカツラで仕方ないか――と思いかけたとき、ひとつ思い出した。
以前、別の会員で髪が薄くて悩んでいた人がいた。
その人がAGAの治療をして、一年ぐらいでフサフサ生えてきたのだ。
それを彼に薦めた。
彼は早速クリニックに行った。
ところが、話はそう単純には進まなかった。
彼女がこう言うのだそうだ。
精力減退するのは嫌!
髪の毛は諦めて!
「髪の毛もハゲでいい!」と彼女はずっと言い続けていると。
彼女の意見は明確だった。
バレるようなカツラなら、いっそスキンヘッドにして!
精力が減退するのは反対!
一方の彼は、治療薬をやってみたくてたまらない。
髪の毛が生えることに心がウキウキしているのが、会って話しているだけでわかった。
フサフサになった自分を夢見ている。
見た目を取り戻したい彼と、体への影響を心配する彼女。二人の間で、答えが出ない日が続いた。
彼はどうしてもAGAの治療をやりたいと彼女に伝えて、懇願した。
彼女は最後まで反対し続けた。
それでも二人は、一つの結論にたどり着いた。
結婚後、カツラ問題はどうなったのか
この二人、真剣交際から3ヶ月後にきっちり成婚退会した。
最終的に折り合いをつけたのは、彼のほうだった。

髪が生えることより、彼女を不安にさせないことのほうが大事だ――そう思えたとき、彼はAGA治療をきっぱり諦めた。
彼女が言ったのはこうだった。
精力減退は嫌だ。彼のカラダに悪影響があるかもしれないことはやめて欲しい
つまり、彼女はカツラを認めた。
AGA治療はしない。
そのままカツラのまま、なにも変わることなく、立派な結婚式を挙げた。
彼女が反対したのは、薄毛が嫌だったからではない。
好きな人の体に悪影響が出るかもしれないことが、嫌だったのだ。
カツラかどうかなんて、彼女にとっては最初から大した問題ではなかったのかもしれない。
今、子供が二人いて、仲の良い夫婦をやっている。
そして――旦那さんのカツラが今どうなっているかというと、もうスキンヘッドだ。
結婚したら、もう、そんなことはどうでもいいのだ。
婚活中にあれだけ彼を苦しめた問題は、結婚という日常の中であっさり溶けて消えた。
カツラもAGAも、二人の間では過去の話になった。
カツラがバレるのが怖い婚活男性へ
鏡を見るたびに、いつバレるかと不安になる。
デートのたびに、風や雨を気にしてしまう。

その気持ちは、痛いほどわかる。
そのうえで、あの男性の話を振り返って、あなたに伝えたいことがある。
婚約破棄を防ぐのは、完璧な見た目ではなく信頼関係だ。彼が受け入れられたのは、髪があったからではない。隠しごとを自分から打ち明ける誠実さがあったからだ。
カミングアウトのタイミングは、「相手の好意が確認できた段階」でいい。
早すぎれば関係が浅いまま終わるリスクがある。
遅すぎれば隠していたことへの不信感が大きくなる。
真剣交際に入り、お互いの気持ちが固まってきた頃。
彼のケースはまさにそこだった。
そして、受け入れてくれる女性は、最初から存在している。
「ぜったいムリ」という人もいる。それは事実だ。
でも、髪の毛よりもあなた自身を見てくれる人は、必ずいる。
彼の彼女がそうだったように。
結婚したら、もう、そんなことはどうでもいい。
これは私が何組もの夫婦の「その後」を見てきて、心の底から思っていることだ。
隠し続ける恐怖の中で婚活を続けるより、話して、一緒に決めてくれる相手を見つけてほしい。
私がサポートしたあの男性が、そうしたように。
まずは、その一つの悩みを、信頼できるカウンセラーに打ち明けてみてほしい。
たった一人に話せたその瞬間から、あなたの婚活は変わりはじめる。





